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パラレルワールド
官能リレー小説 - SF

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パラレルワールド 22

 僕もちょっとだけ恥ずかしくなった。
「あの、ちょっとトイレ行ってくる」
「私も行く」
 さやかちゃんが立ち上がった。

 歩きながらさやかちゃんが耳打ちする。
 「男の子は目立つからね。一人で歩かないように」
 確かに、周りを見ると客は当然のように女性ばかりだ。厨房の奥の方に中年男性がいたような気がするくらいだ。
 「男子トイレは…」
 「ああいう共学校以外は、男子専用のトイレはないと思って」
 確かに、女子トイレ、のような表示もない。
 僕とさやかちゃんはドアを開け、個室が並ぶトイレに入った。
「春くん、有希さんと何かあったの?」
「実は…」
写真部と美術部でもって、僕と有希さんは一緒に裸になり、モデルをさせられた経緯を話した。
「ふうん!それは大変だったわね!」
「しょうがないよ。有無を言わせず、強引だったんだから」
僕はそう弁解した。
「仕方ないわ。春くんは男の子という、この世界では貴重な存在だから」
「さやかちゃん!」
さやかちゃんは理解してくれた。

僕たちは用を済ませるとトイレを出て、席へ戻った。
「有希さん、今度は私が春くんと一緒にモデルになるよう、貴女から写真部や美術部に頼んでね」
「は、はい」
さやかちゃんに言われ、有希さんは緊張した面持ちで返事をした。

「春木くん、バスケットボール部に入ってはどうですか」
「えっ!どうして?」
有希さんの説明だと、聖光学園の体育館は中がとても広くて、放課後は新体操部とバスケットボール部が中を半々に分け合いながら一緒に練習をしているとのことだ。
「ですから、バスケ部に入れば、放課後…さやかさんや夏奈さんの傍にいられるからいいと思って…春木くん、どうですか?」
有希さんは気を効かせたつもりでそんな話をしたのだろう。

「オ兄ちゃん、それがいいよ。バスケ部に入りなよ。…そうすればお互い近くになれるし…」
夏奈が言った。
「ありがとう。考えとくよ」
僕は有希さんにそう返事した。
「私、明日の放課後はサッカー部の練習がありますので、お付き合いできませんから…」
「うん。わかった」
僕は、明日の放課後に、さやかちゃんの応援とバスケ部の見学を兼ねて、体育館へ足を運ぶことに決めた。
「さやかちゃん、明日、応援に行くから。…さやかちゃんの新体操の演技、しっかり見せてもらうよ」

マックを出て、有希さんに家に寄ってもらうつもりだったけど、時間も遅いからまた今度にした。
「有希さんのこと好き?」
さやかちゃんが聞いてきた。
「まだわからないな。おしとやかそうな人だと思うけど。」
「春君が誰と付き合うかは、春君の自由だから。」
「ありがとう、さやかちゃん。…でも…それでいいの?」
「えっ!?」
「僕が他の女の子と付き合っても、さやかちゃんは妬かないの?」
「まあ…嫉妬しないと言ったら嘘になるけど…」
さやかちゃんは笑顔で話す。
「私が春くんを縛ることはできないわ。私が春くんを一人占めするなんてできないよ」
「ありがとう。…これから先、いろんな女の子たちに迫られるだろうけど…」
「それは仕方ないわ」
「この先どうなるかわからないけど、今の僕にとってはさやかちゃんが一番だよ」
「ありがとう!そう言ってもらえて嬉しいわ」
それから僕たちは電車に乗って帰路に着いた。

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