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パラレルワールド
官能リレー小説 - SF

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パラレルワールド 2

 僕は新聞を手に取り、記事を読み、関連記事を辿っていった。中の方に、これまでの歩みが書いてあった。

 8年前、日本周辺状況の緊迫から、18歳の日本人男女全員が基本2年「国防協力隊」なる組織に協力するように要請されるようになった。これは成果を上げたが、一方で日本の国力を上げるための出産の奨励、墮胎の規制、はあまり成果が上がらなかった。そこで政府はついに、今回「不同意性的行為の許容」に踏み切り、さらなる出産増を目指すことになった…
次に女性予約制度の導入だ。美女に男たちが群がりすぎるため予約制になったようだ。
「姉ちゃんも誰かとセックスすることになるの?」
姉ちゃんは浮かない顔をしながら話した。
「ええ。そうよ。すでにもう私を予約した人が一人いるわ。こういうのは早い者勝ちだからね。かずきも気になってる女性とセックスしたいなら予約しなさい。」
 僕は、新聞紙面にあった、QRコード…これは僕が知っているものと多分同じもの…をスマホで読み取って、女性予約サイトに移動した。

 『予約したい女性が居住する市区町村を選択して下さい』
 僕は、今いる市を選んだ。この過程では、消えた町村とか、聞いたことのない市とかは、特に目につかなかった。

 そして、予約したい女性の氏名を入力する画面が現れた。
 “「ひだまりひろば」のあの子、確かうちの市だったな”
 僕は、僕と同い年と記憶しているアイドルの名前を入力した。
 『植村ひな 29歳 女優 元ひだまりひろばメンバー』
  プロフィールとともに、時間が経過したその子の写真が表示された。あ、やっぱり、お姉さんになってる…でも、やっぱり、きれいな、お姉さん。
 でも、やっぱり、というか、予約できる3ヶ月間はすべて予約済になっていた。
「ひなちゃんなら私がかわりに予約しておいてあげたよ。」
「え!どういうこと?」
「私、ひなちゃんと友達だから特別に頼んでおいてあげたの。かずきの写真見せたら喜んで引き受けてくれたよ。」
「姉ちゃん、ありがとう。でも、いつ、ひなさんと友達になったの?」
「それはまた、今度教えてあげるね。ほら、遅刻しちゃうよ。」
 スマホが振動した。
 『今日は、まだ?』
 多少ユーザーインターフェースは変わっていたが僕が知っているメッセージアプリの着信だ。
 メッセージの送り主の名前は…登則 優愛。
 この名前は、知っている。登則家は隣の家。そして、優愛ちゃんは、保育園に通う、5歳児。
 でも、12年経っているということは、17歳の優愛ちゃんが、隣にいるのか…
 そのメッセージ画面を多少遡ってみると、僕は優愛ちゃんと、少なくともここ数日の登校時は毎日一緒だったようだった。

 また僕のスマホの画面をチラッと見た姉ちゃんは重ねて言った。
 「優愛ちゃん待ってるよ。早く、それ飲み込んで、行きなさい」

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