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異世界からのシシャ
官能リレー小説 - SF

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異世界からのシシャ 1

…西暦2192年…

21世紀の初頭に起きた地球規模の大災害から200年近くが経過し、科学技術も当時よりもはるかに飛躍した。
エイズウィルスなどの病原菌の絶滅や宗教対立などに起因する多国間紛争も一応の解決をみた。

国防という主要任務を失った各国軍隊も規模をみるみる小さくし、テロや地下の犯罪組織の排除を細々と行う程度になった。
…要は平和になった…というわけだ。

…見かけ上は…



…それでも“自動車”は相変わらず空を飛ばないし、“電車”はレールの上以外を走ることはなかった。
人間は20世紀から21世紀と流行こそあれ、ほとんど変わらない容姿、ファッションをしている。ピッタリとした全身ボディスーツを着る文化は発生しなかった。


…“あの日”までは…
西暦2192年2月16日、午前4時28分。

日本の千葉県、犬吠埼の東の海上に“何か”が落ちてきた。

その“何か”の落下は広い範囲で目撃されたため、巨大隕石かと一時騒然としたが、ありがちな衝撃波や津波が発生しなかったため、せいぜい旧世紀の人工衛星だろうという世の中の結論だった。

とりあえず沿岸から近い事もあり、早いうちから海上保安庁や自衛隊が引き揚げに取りかかろうとした。


…数日の捜索活動の末、縦横1m、長さ3m程の大きな四角い棺桶のようなモノが回収された。
これだけ大きなものであり、大気圏突入に耐えうる程に頑丈で、重量も数百kgというものでありながら海に沈む事なく浮いていたという。

回収された箱の中身は…生命維持装置のようなモノを全身に繋いだ、女性…見た目は間違いなく人間だった。


眠っているのか、気を失っているのか、死んでいるのか…

サルベージ船の乗組員には見当がつかなかった。



―――それにしても美人だよな…

―――死神かもよ。下手に触れたら一瞬でオダブツだぜ。

―――美女を抱いて死ぬなら本望だな…

…その後、この事件に関しての箝口令が敷かれ、一切表に出ることはなくなってしまった。
当然、箝口令が敷かれたのには理由があった。

…20年後…

私はその理由に触れていく。開けてはいけないパンドラの箱を…

…未確認物体の墜落は当時の私の記憶にもはっきり残っている。眠れない夜にぼんやり外を眺めていたら流れ星が見えた。産まれて始めてみる流れ星に心を輝かせていたのだ。
すぐにニュースにもなったが、結局、正体は何だったか。どこも深追いはしなかった。



…あぁ…忘れていた。私の名前は高岡京一、26歳。職業は…しがない自衛隊員。階級は3等陸尉。やっとボロ雑巾のような扱いから解放され…かといって出世街道まっしぐら…というわけでもないが…平穏な毎日を過ごす事ができるようになった。

現在はとある基地で…まぁ…新しい装備品のテストや調整を行なっている。言い替えれれば…実験台か。

テストと言っても特別な知識も博識もない。現場からの視点で改良を求めたり…その程度だ。


西暦2212年10月5日


私はその日の作業を終え、宿舎に戻る準備をしていた。そこへスーツを着た男女数人がやって来た。そのグループの後ろを装備品輸送用のケースが台車に載せられ、ついてきている。

…まーた本省の“持ち込み”か…
今回の持ち込みは水色の潜水服のような物だった。深海作業用の分厚いものではなく、ほぼ水着そのものだった。
水着と違うのは戦隊ヒーローみたいなヘルメットのような物が付いているだけ、といった感じだ。
これはかなり恥ずかしい。体のラインがもろに浮かび上がるからだ。
色が明るい水色なのも良くないと思う、陰影が強調され更に生々しくなってしまっている。
一体これを誰が着るというのだろうか?
結局誰が着用するのかはっきりしないままそのスーツのテストが始まる。
水に浸したり、高温に晒したりするといった基本的な検査がいくつか行われそれらが一通り終わると全体にステルス機能を付加する粒子が噴きつけられた。
どこかに誰か単独潜入でもさせようというのだろうか。

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