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闇の牙―牝狼―
官能リレー小説 - SF

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闇の牙―牝狼― 2


全身に血を浴び、心を取り戻しかけた美紀。
だが…同時に取り戻した全身の痛みと恐怖に震え、思う様に動けずにいた。
「いやぁぁ…いやぁ…」
そして今後は恐怖のあまりに麻痺しそうな心ではあったが…。
這う様に逃れ続ける美紀。
その目は残りの不良に向けられていた。
残り最後の不良は地面にうつ伏せに倒れ。
「うぁぁぁ!」
倒れ込んだ不良の背中の上にのし掛かっている闇。
その闇は…。
犬?狼?……女の様であった。
恐怖に震える美紀の目に飛び込んできたモノ。
それは不良の背中に乗る髪の長い女の様であった。

「あ…あ…あ…」
己の裸体を抱き…ガタガタと震える美紀。
不良の背の乗る。
女の様な物がギラッと光る一瞥を美紀に向けた。
が…。
ブチュ…グチュ…。
視線を不良に戻した女の様な物。
不良の首筋に食らいつき始めた。
「うごぉぉぉ!」
助けを求める様な視線を美紀に向ける不良。
その不良が断絶魔の悲鳴を上げる。
バキバキと骨を砕く音。
ブチブチと肉を裂く音がその悲鳴に重なる。
「あ!こぉ……」
不良の悲鳴がすぼんでゆく。
ブチッ!
そして、ひときわ大きな筋を引きちぎる様な音。

不良の背の上にうずくまった。
女の様な物が…その長い髪を振り乱し。
己のかぶりを振った。
ボトッ――。
「ひぃ!ぃぃぃぃ!」
しゃがみ込んでいる美紀の足下に…。 
ちぎれた生首が転がってきた。
「ひぁぁぁ!」
ガタガタと震え続ける美紀。
生首から視線を女の様な物と戻す。
グチャ…グチャ…。
その方から聴こえるのは、紛れもなく咀嚼の音であった。
「やだ…やだ…」
ボロボロと涙と鼻水を流して顔を歪める美紀。
剥き出しの股ぐら。
いつの間にか失禁でグッショリと濡れていた。


そんな状態で有りながらも。
美紀は目の前の光景から目が離せないでいた。
そして…ゆっくりと立ち上がる女の様な物。
月明かりに青白く照らし出された、それは…。
紛れもなく全裸の女だった。
小ぶりだが形のいい乳房。
筋肉質に締まった胴回り。
スラッと伸びた綺麗な脚。
背丈はない物の充分に美しい身体であった。
その女が美紀の方に歩み寄ってくる。
だが恐怖なのか…。
女の美しい身体のせいなのか。
魅入られた様な美紀…目を逸らす事ができない。

下腹部の黒々とした陰毛。
そして顔まではっきりと見てとれる位置まで女が近づいてきた。
ナチュラルウェーブのかかった黒く長い髪。
ピンと上がった柳の葉の様な眉。
ほっそりした頬。
形の良い小さめの鼻。
そして金色に輝く瞳と血に染まった口許。
美し過ぎる恐怖がそこにあった。
グルルッ――。
通った鼻梁にシワを寄せ。
女が血のルージュで彩られた唇を剥き上げた。
血に濡れた白い歯…いや、白い牙が鈍く光る。
その瞬間。
恐怖がリミットを遥かに越えた美紀。
……美紀は暗い闇に落ちていった。

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