主人公最強主義 8
美女はゼクスに気付くと、男を離し、嬉しそうに尻尾を振りながら駆けよってきた。
「ゼクス〜〜、どうしたの?こんなとこで?」
「それは俺のセリフだ。どうしたんだ?」
「あっ、そうなの!聞いてっ、あの男から買った聖水がニセモノだったの。」
ゼクスは小さくため息をついて、やれやれと首をふった。
「だからいつも買い物は俺の店でしろって言ってるだろ?。」
その言葉に狼の獣人の美女……イリアの狼の耳はうなだれ、しゅんとしている。
「…だって……ゼクスの店高いんだもん…」
「それは質がいいからだ。それにお前なら安くしてやるぞ?条件付きだがな…」
「ムリだょぉ……だってゼクス手加減してくれないし……いじわるするし……」
ゼクスの言う条件とは、一夜を共にすることであった。
良いじゃないか、お前も楽しんでいたじゃないか、そ・れ・に・お前は俺様の牝奴隷なんだぜ。」
そう言うとゼクスはイリアの豊満な胸を揉み始めた。
イリアは恐怖で身を固める。しっぽを震わせ、目をギュッとつぶっている。
「クククッ、冗談だ。そう怯えるな。それより、さっきな愛に飢えてる淋しがり屋のモンスターを拾ってペットにしたんだ、子猫みたいでカワイーだ。見に来るか?」
「い、いや……今日はちょっと……」
しぶるイリアに、ゼクスは決定的な言葉を投げ掛ける。
「そういえばこの前、悪徳商人に騙されて偽物を全財産はたいて買おうとしていた奴がいたな〜、まぁ、たまたま俺が通りかかったから騙されずにすんだけど……あれは誰だったかな?」
「うぅ……」
「しかも、ショックで泣き止まないもんだから、本物を格安で譲ってやったっけ。あ〜あ、あの月は生活が苦しかったなぁー。」
「そ、そんなにカワイィペットなら見てみたいなー……ハハ、ハ…ゼクスの家に見に言っていい?」
冷や汗をかきながら、目を泳がせるイリア。
セリフが棒読みだが、ゼクスは思惑通りにいったので、満足げな笑みを浮かべている。
「ああ、大歓迎だ。」