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新人冒険者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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新人冒険者 1

暗く、鬱蒼とした森の中を、ある集団が進んでいた。
4人全員が人間の男である。
その内の3人が革の鎧を着用した戦士なのだが、着慣れていないのかサイズが合っていないのか微妙な違和感がある。着ているというよりも、防具に着られていると言う方がしっくしりくる。
後の1人は魔法使いで、ゆったりとした緑色のローブで全身を包んでおり片手には短い杖を持っている。
新米の冒険者チームであった。
「どうだ、そろそろ目的地に着く頃か?」
戦士が魔法使いに訊ねる。
「まだ先だ。あと2時間は歩かなくてはならんぞ」
「そうか…しかし、この森は嫌な感じがするな。獣の鳴き声も聞こえないし…モンスターすらいないとはどういうわけだ」
魔法使いの返答を聞いて、戦士は周囲を警戒するように見回しながら言う。
他の2人も同じようにしていつ何が起こっても良いように構えているのだが、その様子は素人らしさがある。
4人とも、警戒しながら歩き続けた。
30分ほど過ぎて、戦士が言った。
「おい、何か聞こえないか?」
「どんな音だ?」
「だいぶ遠いんだが、音楽のような……」
言われて全員が耳を澄ませる。
「聞こえた。かなり遠いが、音楽のようだぞ」


タタタターンターン タタタターンターン
タタタターンターン タタタターン

フォンフォフォフォーン フォンフォフォフォーン
フォフォフォフォンフォン フォフォフォフォーン……

音がわずかずつ大きくなる。音源の方が近づいてきているらしい。
音楽に交じって、爆発音を連ねたような音がうっすらと重なっている。

「おい、こんな場所で音楽とは不謹慎な奴らがいたものだな!」
戦士はわざと大声を上げた。
「もしかしたら盗賊かも知れんぞ。音で撹乱して奇襲を仕掛けるつもりかもしれん」
魔法使いが緊張した声で言った。
フォンフォンフォンフォンフォフォーン……
音がいよいよ大きくなってきた。
4人は立ち止まり、身構えた。その重低音は股間にジンジンと響く、そんな感じがした。
フォンフォフォフォーン フォンフォフォフォーン
フォフォフォフォンフォン フォフォフォフォーン……

重低音はさらに大きくなり、ズドドドド…という爆発音を連ねたような音も大きくなって音楽と共に腹に響く力強い、禍々しさを覚えさせる攻撃的なサウンドを奏でる。
まるで死を運ぶかのような、天空そのものが怒っているような。

「何だあれは?」
「鳥か?」
「にしては速すぎるぞ」

木々の間から、空を見ると、遠くから黒い点が数多く迫ってくる。
この禍々しく攻撃的な音を発しながら。

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