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守りの巨木
官能リレー小説 - ファンタジー系

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守りの巨木 1

荒れ果てた大地に、一人の褐色肌の男が立っていた。
「…………」
男は、目の前に広がる光景を、ただ黙って見つめていた。
彼の視線の先には、どこまでも広がる荒野と、その荒野に点在する集落があった。
集落には、男と同じ黒い肌の色をした人々が暮らしている。
彼等は股間からペニスケースと呼ばれる筒状の器具を装着しており、それがまるで、彼等が力強い男性であることを主張するかのようだった。
しかし、彼等の表情は暗い。
その表情からは、この集落の現状に対する悲しみや怒りが見て取れた。
この辺りには、男たちの暮らす集落の他、女たちが集まって暮らす集落があった。
乾季と雨季の境目になると、周辺の集落が集まって祭りを開いた。
その祭りで男たちは、狩りの腕やペニスケースで力強さをアピールし、女たちは強い男と子を成すのだ。
だがある時突然、荒野の北の方から白い肌の人々が大軍で現れ、黒い肌の人々を打ち倒した。
そして白い人々は、屈強な男たちや年頃の女たちを拐っていき、集落には傷つき弱った男たちが残されたのだ。
荒野の男たちを必死に戦ったのだが、白い人々の持つ礫を放つ鉄の棒にかなわず、働き手と女たちを奪われてしまった。
拐われた者達はどうなったのか?それは、彼等にはわからなかった。
しかし、残された者たちにとっては、連れ去られていった仲間たちの行方を案じるよりも先に、自分たち自身のことを考える必要があった。
このままでは、飢えて死ぬだけだからだ。
幸いなことに、白い人々の軍は、砂漠の向こうにある国へ帰っていったらしい。
だからといって、いつまた彼らが戻ってくるともわからない。
そこで生き残った男たちは、連れていかれた女たちのことを忘れることにした。
自分達が生きるために、自分達の女を取り戻すことをあきらめたのだ。
こうして残された男達は白い男達に荒らされた集落を捨て、新たな土地を求めて彷徨い歩くことになった。
男達の列が動き出す。
先頭にいる男が、雄叫びをあげた。
それに呼応するように、後ろに続く男達からも雄叫びが上がる。
ペニスケースを揺らし雄叫びをあげながら進む男達の顔は、これから先の苦難に立ち向かう決意に満ちていた。
男達が向かう先、そこには新たな生活の場があるはずだった。だが、現実は違った。
「おい!何だあれ?」
一人の男が指さす方向に、大きな影が見えてきた。
それは彼等がレダースと呼ぶ巨木に似た形状をしていた。

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