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野蛮な衝動
官能リレー小説 - ファンタジー系

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野蛮な衝動 2

鳥たちが驚いて飛び立つ羽音が聞こえる。
「何だ!?」
「今のは何だ!?」
「分からん!」
男達は一瞬呆気に取られた後、口々に騒ぎ始めた。もはや争いどころではない。
二つの部族の男達はお互いに目配せしてから合流し、守りを固めた。槍を手にしたまま息を殺して様子を窺っていると、再び同じ方向から雄叫びが上がる。
「うおぉぉっ!」
先程よりずっと近い。その声を聞いた瞬間、彼等は反射的に身を屈めていた。そして次の瞬間には走り出していた。
声の主が何か分からない以上、その場に留まっていても仕方がない。彼等はただひたすら走った。
しかしそれでも声の主の方が速かった。すぐに追ってくる気配を感じる。どうやらこちらの位置を正確に把握しているらしい。
「何なんだあいつは!?」
「知るか! とにかく逃げるんだよ!」
しばらく走っている内に、いつの間にか彼等は深い森を抜けて草原に出ていた。背後からのプレッシャーを感じつつも振り返ると、そこには誰もいなかった。
「逃げ切ったのか…?」
安堵感から思わずへたり込みそうになるが、まだ安心はできない。森の方を警戒して見つめ続ける。
人数が足りないのに彼等は気づいた。
「おい!誰かいないぞ!」
「どこに行った?」
「まさか…喰われたのか!」
「馬鹿野郎! 縁起でもないこと言うんじゃねぇよ!」
どうやら双方の部族から一人ずつ居なくなったようだが、それがどんな男だったのか誰も思い出せないでいた。
彼等は必死になって探したが結局見つからなかった。仕方なく捜索を諦めることにしたが、今度は自分達の身の安全を考えなければならない。
そこでどちらの部族の陣地にも属さないこの場所で一時的に休戦し身を隠すことにしたのだ。
彼等は不安を抱えながらも、とりあえずここで夜営することにした。
「今夜は交代で見張りをするしかないな…」
彼等は焚き火を中心に車座になりながら話し合いを始めた。
「敵がなんなのか調べないとまずいんじゃないか?人間の雄叫びのように聞こえたが」
「ああ、俺もそう思う。敵対する人間だとしたら、このまま放っておくわけにはいかないだろう」

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