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野蛮な衝動
官能リレー小説 - ファンタジー系

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野蛮な衝動 1

小高い丘から見ることが出来るそれは、山肌にぽっかりと空いた洞窟だった。

 ちょうど狩りに行くところだったらしい数人の男達が棒きれの先に石を括りつけて作った槍を手にその中から出てきた。彼等は腰に茶色の布を巻いただけの姿だったが、皆体格が良く、腕も足も丸太のように太い。その鍛えられた筋肉が生み出すパワーは、恐らくそこら辺の男達では歯が立たないだろう。
「それじゃあ行くか」
先頭にいた男がそう言うと、後ろの四人が一斉に声を上げた。
「おー!」
彼等は手に持った石槍を振り上げながら、掛け声と共に歩き出した。
彼等が向かった先には鬱蒼とした森があった。彼等はためらいなくその森の中に入っていった。
そこは普段人間が入らないような場所だ。地面からは奇妙な形の草花が生えており、まるで毒々しい色の絨毯を敷いているようだった。木々は太く高くそびえ立ち、空を隠している。日の光はほとんど差し込んでこない。そんな薄暗い森の奥深くまで分け入って、ようやく彼等は足を止めた。
それは前からも同じような集団が歩いてきたからだ。彼等とは別の部族らしく、腰に巻いた布の色合いが濃かった。
二つの集団はそれぞれ睨み合うように対峙した。そしてどちらともなく槍を構える。
「ここは俺達の縄張りだぞ!何でお前らがここにいるんだ?」
一人の男が叫ぶ。
「ここは昔から俺らの縄張りだぜ。今更後から来て偉そうなことを言うんじゃねえよ」
相手の部族の男が怒鳴るように言い返した。
「ふざけるな! この辺りの森は全て俺達のものだ。それを勝手に荒らしておいてよく言うぜ」
「うるせえ! お前らは大人しくここから出ていけ!」
そう言って男達は槍を構え直す。だがお互い相手を殺す気はないようだ。あくまで威嚇し合っているだけだった。
やがて二人の間に緊張が高まってきた時、突然、奥の方から一際大きな雄叫びが上がった。
「うおおおおぉぉっ!」
それと同時に森が震えた。

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