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見習い魔術師セオドア
官能リレー小説 - ファンタジー系

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見習い魔術師セオドア 5

「わからない…あっ、動き出したわ」
アドリアナも小声で言う。
「何をするつもりでしょう?」
「岩に身を隠すように動いていますね」
セオドアが見たところ、鬼達は十人ほど。しかも、全員屈強そうな体格だ。
もし見つかってしまった場合、厄介なことになるのは明らかだ。

観察しながら、セオドア達は小声で話し合っている。
「ちょっと、何見てるの?」
「いえ、その、ごめんなさい」
鬼達には女も混じっていた。彼女達も豊かな胸と引き締まった尻を晒しながら動いている。
セオドアがうっかり気を取られたのを、アドリアナに気づかれたのだ。ちょっとむくれている。

「もう……一度少し下がって、迂回したほうがいいかしら…?でも、どうするのか見てみたいわね」
「とりあえず僕達を迎え撃つ様子は無いですよ。むしろ向こうから来る相手を狩ろうとしているみたいです」
「そう言えば……鬼達は狩猟生活を営んでいるのよね」
鬼達の多くは、セオドア達とは逆の方向に向けて展開し、何かを待ち伏せているようだ。
アドリアナとセオドアは魔術師らしい学究心で、この状況をメモに書き留めてもいた。
今動いて気づかれる恐れと、観察したい気持ちから、静かに様子を見続けている。

「あれは……」
「レアのようね。レアを狩るつもりね」
大型の陸鳥のレアが何羽か、鬼達の伏せている近くにやってくる。
低木に嘴を突っ込む個体、リスか何か小さな動物を追って素早く捕食する個体。
食餌しながら近づいてきたレア達に、鬼達が一斉に襲い掛かった。
レア達は驚いて逃げ出すが、三羽が鬼達の放った礫や網で、素早く取り押さえられた。
その場で鬼達はレアをしめて固縛すると、満足げに立ち去って行った。

「ふう……鬼達ってかなり素早いのね」
「鬼達の狩猟生活の現場を見られて、僕も嬉しいです」
「でもあの速さは聞いてはいたけど、実際に見てみるとやっぱり驚いたわ。捕まらないように気を付けないと」

貴重な観察ができた興奮も冷めやらぬまま、取り急ぎメモを書き留めてセオドアとアドリアナはその場を立ち去り、山を登っていく。
この後は、少しずつ植生が変わって高い木が減り、代わって低木が多くなっていた。
これといったモンスターに遭遇することも無く、夜を迎える。

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