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見習い魔術師セオドア
官能リレー小説 - ファンタジー系

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見習い魔術師セオドア 4

アドリアナとセオドアは、瘴気めいた空気が漂うフィレス山へ入った。
まだ麓のうちは、近隣に害が及ばないよう、時折だが騎士団が魔物や魔獣を討伐している。
おかげでさしたる相手は出てこなかった。

「ここからが本番ね……今のうちに夜営しましょう」
「そうですね」

攻撃魔法に秀でたアドリアナと、防御魔法に秀でたセオドア。
ひとまず魔物除けの結界を張り、テントをしつらえた。
メラメラ…パチパチ…
焚火を囲んで夕食を食べ…その後、セオドアが周囲を見張っていた。
アドリアナは、どこか嬉しそうにセオドアの様子を眺めていた。
(危険な探索だけど…やっと彼と二人きり……必死に見張っているセオドア君…こんなに格好いいなんて……)
アドリアナが心の中で燻ぶらせていた、セオドアへの好意が浮かび上がる。
(思えば、私が指導魔術師になってすぐだったわね…セオドア君が入学してきて、最初の受け持ちになって……かわいい男の子だと思ってたけど、ひたむきで、熱心で……)

その和やかな空気は、予期せぬ乱入者によって唐突に終わった。
不気味に曲がりくねった角が二本、頭から生えている。
その顔は人間と変わらないのだが肌の色は真っ黒で目は赤い。
いわゆる鬼と呼ばれている魔物が接近したからだ。
セオドアは彼等の姿を見ていきり立つ。
彼等は全裸だった。
そして、鬼の男達の股間は猛々しく天を突くようにそそり立ち、鬼の女達は見事にくびれた腰と、人の頭ほどもある双乳を誇らしげに晒していた。
鬼達は荒らしや山賊やミノタウロスのように、傍若無人にのし歩いている。
少数の鬼の男が、多数の鬼の女を囲む、あるいは守るようにしていた。
セオドア達の結界に気づく様子はない。

「鬼達ね……静かに、セオドア君」
「はい、先生。僕が守ります」

決意を固め、彼女をかばうような態勢をとるセオドアを、アドリアナは格好いいと思った。
二人とも息をひそめ、彼らが過ぎ去るのを待つ。
結界は魔物の感覚に作用し、焚き火の光も隠す。
どうも単に通りかかっただけらしい。鬼達はそのまま去っていった。

これなら結界で十分安全だと判断し、彼らは眠ることができた。

翌朝、彼らは登山を再開する。この日は何も出てこず順調だった。
二合目に差し掛かったあたりから、不気味な鳴き声や、魔獣がほかの魔獣に捕食される断末魔の悲鳴が聞こえてくるようになった。
山自体が唸っているような、そんな「震え」さえ感じさせる。
魔獣除けの結界魔法を張っているとはいえ、噂にたがわず不気味であった。

三合目まで登ると、木々の間からゴツゴツした茶色の岩場が見えてきた。
低木や草が岩の間を埋める様に生えているが、砂地もところどころに見えている。
そこには何体かの鬼達がたむろして、何かを話し合っているようだ。やはりどれもが裸で筋骨隆々な体格をしている。
セオドア達は少し離れた木陰に身を隠し、様子を見ることにした。
「何をしているのでしょうか?」
セオドアが小声で問いかける。

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