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遥かなる希望の地にて
官能リレー小説 - ファンタジー系

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遥かなる希望の地にて 6

パトロール隊は腹を満たして、弁当も持たせてもらえて、機嫌よく出発していった。
「すまんな。俺もまだまだ手落ちがあるようだ」
「何言ってるんです?飯は生きる基本でさ。気を付けてくださいよ」
「そうだな。気を付ける」
ベテラン下士官のように頼りになる彼女のおかげで、俺は航海中も何度か助けられた。
近距離の巡回のつもりだったから、弁当までは用意させてなかったが、あった方がいいだろう。
ふとアンジェラと一緒に来た女達を見ると、何人かはパトロール隊を心配するように、彼らの向かった方向を見ていた。あの中に好きな男がいるのかもしれない。
俺も、指揮で忙しかったし小休止するか。
すると、妹のリーゼともう一人、魔術師の女性がやってきた。
「兄さん、お疲れ様」
「シャッドハルトさん、お疲れ様です」
「リーゼにウィノナさんか。お疲れ様」
魔術師のウィノナさんは、リーゼとは同い年の親友で同時に、俺の想い人でもある。
「ウィノナでいいですのに」
「いつもリーゼと仲良くしてやってくれているのに、呼び捨ても失礼だと思ってね」
ウィノナさんはぱっちりとした眼に可愛く整った顔立ちをしており、人当たりもいいのでリーゼ共々シャンド・ラーサ号の水夫たちに人気があった。
二人とも回復魔法も使えるし風魔法も操り、船旅の途中では治療や、風の加減が良くなく船足が進まない時の補助に活躍してくれた。
腕のいい魔術師は貴重で、4人連れてこれたのだって、僥倖に近い。
今は住宅などを建てる手伝い以外魔法を使う用事が無いので、彼女達には休める時には休んでもらっている。
リーゼが休憩がてら話しかけてきた。
「兄さん、エリーネさんをパトロール隊に一緒に入れなくて良かったの?」
「いや、シャイラーには遠出はしないよう命じてあるし、彼は無茶はしない男だ。それに回復魔法が使える者をあまり危険に晒したくない」
ようやく到着したばかりで、しっかりした拠点を築き、後続の移住者を迎え入れるまでは、堅実に事を運ぶべきだろう、俺はそのつもりでいる。
「エリーネさんなら馬術の心得もありますし、随伴できると思いますよ?シャイラーさん達も安心できるでしょうに」
ウィノナさんにも言われてしまった。だが、魔術師は貴重なだけに失えない。
「リーゼ、ウィノナさん、まずは、ここにしっかりと拠点を築いて、安心して眠れるようにしないといけない。それまでに魔術師が欠けると怪我や病気を治せる者がいなくなって、皆が不安がるだろう。それにお前たちを死なせでもしたら、移民者のみならず船員達にも恨まれる」
今回連れてこれた魔術師は4人共、つっても1人は俺らのお袋だがみんな見た目もいいし、男達に人気がある。
俺達の親父はすでに死んでしまっているし、お袋が再婚したいって言ってもそれでお袋が幸せになれる相手なら、俺もリーゼも反対しないつもりだ。
俺がウィノナさんとリーゼを交互に見ながら言うと、二人とも俺の気持ちに気付いてくれたようで、少し嬉しそうな顔になった。
「まあ…兄さんったら」
「シャッドハルトさん…」
「でも兄さん、私たち4人をあまり過保護にしてると、私とお母さんは家族だからまだしも、ウィノナさんとエリーネさんの両方を囲ってるように思われてしまうよ」
「そんなつもりはないし、これからは治療や工事に魔法でどんどん働いてもらう。そんな誤解はさせないぞ」
そう言って俺が笑って見せると、リーゼは頷き、ウィノナさんにはこう返された。
「いざというときは私は貴方の治療を優先しますからね。貴方が私の想い人だって、見せつけてあげるんだから」

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