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地下水路
官能リレー小説 - ファンタジー系

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地下水路 2

まずは、少年が戻ってくるか様子見をするために看板の前に居座った。ちょっとした休憩も兼ねていた。
戎凱は籠の中に入っている物を勝手に漁り、柿に似た果実を取り出した。
「まだ新しいな」
そしてそれを勝手に食べ始めた。
商品一つにしても、護衛を置かない方が悪い世の中だ。
抵抗する権利のみが平等であり、武力のみが唯一の通貨である。
それは命すら同じであり、手下の1人が水路に飲み込まれたのも当たり前の日常であった。

「全員抜刀! 怪物どもに死を与えてやれやっ!!」

蠢く泥の塊――ドロタボウ。地下水路の掃除屋にして、万物食らう化け物である。
まず盾持ちが固まり前線を作ると、その間にて長物が構えられた。
ミミズのような口だけの姿が崩れ、巨大な握り拳が振り落とされる。
人一人を押し潰す大質量は、歴戦の連携をもって受け止められた。

「そのまま抑えてろっ! こっちで削りころしてやらあぁぁっ!?」

拮抗する盾持ちたちの横から、化け物の体が抉り飛ばされていく。
表面を覆う泥までは生きてはおらず、回復する隙さえ与えなければ持久戦で殺せる相手だ。
泥の中から同じような色に濁った塊が飛び出してくる。それが本体だった。
その中に先程飲み込まれた手下の一人が浮いている。
彼はしばらくジタバタと暴れていたが、唯一の装備の褌とボロ布を剥ぎ取られると股間を硬く突きだして気絶してしまった。
 
「おぅ、盾を重ねろっ! 隙間から掴まっちまうぞ。お前ぇらは油だ、廃油ぶっ掛けろぉ!」

核が出てきたら、守りを厚くする。泥の鎧が無い分速く、細やかな動きで襲ってくるためだ。
水分があるとはいえ、守りは弱くなる。濁った油で焼いてしまえば、クスリの材料になる。
最期の抵抗と触腕を伸ばすドロタボウを、盾持ちたちが囲って押さえ込んだ。
上から投げ込まれる廃油入りの瓶が割れ、本体を油塗れに変えていく。
後は火打石で火種を作れば、この戦いも決着だ。
黒ずんだ廃油に洗われて中身が見えてきた塊に、襤褸布を巻いた石を火を着けて投げつける。
踊るように暴れ出したドロタボウの抵抗を、焼かれないようにしながら押さえ込んだ。

「がははっ! 踊れや躍れぇっ、その命高く買ってやるわあぁっ!!」

地下を照らす炎が消えた後には、樹脂のような拳大の石ころと全裸の手下が転がっていた。
油断して戦いに参加しなかった罰は、帰ってからの家畜小屋送りだ。と戎凱は頭の中で決める。
焼ける油の臭いと光で、他の化け物がやって来るかもしれない。
賊らは店の奥に進むかどうか、腹ごしらえをしながら指示を待つ。

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