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船に乗り込んだ獣性
官能リレー小説 - ファンタジー系

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船に乗り込んだ獣性 4

「まぁ気持ちは分かるが……この船の航行は俺らだけの問題じゃないんだ。今みたいに風任せじゃ現在地が分からなくなって諸島まで行けなくなるだろう。そうしたら行政部は軍部を削りにくるし外交内政でも悪い評判が広がってしまうと思うぞ」
これが個人商店の船であれば自己責任で欲求に身を任せていたかもしれないがガレス達は軍人なのだ。
彼らのように今日のために明日を捨てるわけにはいかないのである。
「悪いが雇い主としての決定だ。通告のうえで改善が見られなければ生物ごと鮫の餌になってもらう」
「流石に水夫を全員殺すのはやりすぎではないか」
その水夫は反論をする。自らも水夫の一人でありながら、妙に他人事のような言い方だ。
ガレスはそこが妙に気持ち悪く感じた。本当にこの男は水夫なのだろうか。
一人だけ乱交に全く参加していないのも不自然に見える。

「出来ればそんなことはしたくない。だがここまで何もしないとなるとこちらも困る」
こうなったのは全てガレスが魔物を放置していたからである。その迂闊さを水夫に全て押し付けて話を進めている。
「あいつらに死なれたらこちらも困りますからね…」
水夫が意味ありげなことを言った。
「そういう事だ。……ついでにお前さんも拘束させてもらうぞ。現状では不確定要素は放っておけないからな」
敵意があるかも分からない謎の生物への対処に頭を悩ませながらガレスは秩序側として必要な行動を進めた。
水兵たちがカットラスに手をかけながら水夫らしき男を囲んでいく。
食堂に移動したガレスらは水夫の塊によく通る声で警告を発した。
「契約を結んだ諸君に伝える。船の運航を最低限行わないままの場合諸君の姫さまごと海に帰ってもらう」
同じ内容を二回続けると水兵たちに篭城の準備を進めさせつつ船長室に移動した。
「さてさて共存の意思はあるのかそれとも俺たちを平らげて乗っ取るつもりか」
眼前の青いスライムは、艶めかしい若い娘の姿になっていた。
深見のある海の蒼色をしたその身体は、人間の娘とは違った魅力を放っている。

「わたくしをここまで育てていただいたのに、どうして食べてしまう必要があるのでしょう?
わたくしが食することができるのは魚や海藻、そして何より殿方の精。
人の肉を食べるようなことはできません。時々精を頂ければ十分に生きられますれば、どうして乗っ取る必要がありましょうか」
「何なんですかこの者は……単なる海棲スライムの類ではなさそうですが……」
「お前が何者なのか、聞かせてもらいたい」
「陸にはサキュバスやインキュバスと言った淫魔の方々がおられるそうですね。わたくしは海にてそのように進化したドレインスライムでございます。海の淫魔……と申し上げれば、おわかりいただけますかしら」
「海の淫魔ねぇ……こいつ、大丈夫なんですかね?」
「陸の淫魔達は人間の精を吸って生きるだけ。人を殺すなどめったにない連中だが……」

ガレスと副官は迷っていた。
彼女の言い分を信じるなら、陸上の淫魔と同じで人を殺めるような者では無いのだろうが確証が持てない。

「わたくしも、大人になるためとはいえ皆様方の精を頂き過ぎました。その事はこの通り、お詫びいたしますわ。幼きゆえに知恵も足らず、無暗に吸ってしまいました」

大きな胸を揺らせ、彼女が深く頭を下げる。
その様は蒼く透明度のある事を除けば、裸の美女が心から頭を下げているようにしか見えない。

「すると何かね。大人になるために致し方ない事だったと言いたいのかね」
「その通りでございます」
「この女を信じていいのなら、時々発散出来て便利ではありますね」
「少し黙ってろ」

副官がうっかり乗せられそうになったと思ったガレスは、彼を黙らせる。
女は困った顔でガレス達を見ていた。

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