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Editor king
官能リレー小説 - ファンタジー系

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Editor king 14

和泉五州で歓楽街といえば舞雁湖の「おなご島」で和泉五州だけでなく他国からも春をひさぐ女たちが遊郭で奉公暮らしをしている。
清姫も「おなご島」に葛浦伴継がゆくと言えば嫌な顔をするか、すねたかもしれない。
「葛浦殿、白山州についたら茶屋であもを食べてみてはいかがですか」
「あも?」
餅を「あも」という。和泉家に献上された菓子に白山州のきなこ餅があった。黒蜜ときなこをかけて食べる菓子である。
少しでも葛浦伴継が戦のことばかりを考えすぎて気持ちがふさぎこまないようにと、清姫なりに気をつかっているのだった。
葛浦伴継も、ましらの重蔵も、和泉五州の寺社衆をまとめる謎の人物明鑑に会えるとは思っていない。
葛浦伴継は巡礼巫女とのまぐわいを、ましらの重蔵は避妊の妙薬を入手するという目的で、男ふたりで気晴らしに出かけて行くだけのことである。
二人が留守の間にも、清姫の探索は行われている。
吉野政弘と君主和泉豪正の関係を深く知る清姫が、単純に屋敷に押し入った野盗がさらわれたのなら、秘密が漏れることはない。
とはいえ、吉野家の屋敷は評議の邸宅なので警備は他の家臣の屋敷に比べて厳重。さらに、屋敷の調度品なとの品物が盗まれていない点が、吉野政弘を不安にさせていた。
葛浦伴継が王城のある稜林州から離れて、他州への探索を開始した報告の書状が君主和泉豪正に届いていた。
和泉豪正は溺愛している吉野政弘が、本来の本拠である東領の月水州へ探索を願い出たが、これを却下した。
「このような時のために飼っておいた野鼠よ」
吉野政弘の屋敷に密かに訪れた和泉豪正は、吉野政弘を愛撫しながら言った。
和泉豪正は、商人衆をまとめる真鍋高成と国人衆をまとめる矢部泰造には清姫探索を命じていない。寺社衆の明鑑にも清姫失踪を知らせていない。
もし、それぞれの評議たちに調査探索を命じれば、
評議を支持する商人衆、国人衆、職人衆を疑っていると受け取られたら、いらぬ火種を生む可能性があるからである。
忍者衆の存在について和泉豪正は軽視していた。
金で雇われるだけの存在と考えている。
「だから、政弘はわしとこうしておればよいのだ」
和泉豪正の手が吉野政弘の肌を撫でまわす。
葛浦伴継が勝手に他の評議を疑ったと非難されようと、自分も寵愛する吉野政弘も、何も心配はない。
寺社衆は本来、和泉五州の治安維持の僧兵を持ち、また巫女を使い諜報活動なども行っていた。
葛浦伴継の雇っている忍者衆と寺社衆は敵対関係にあると和泉豪正は考えていた。

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