PiPi's World 投稿小説

Editor king
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 10
 12
の最後へ

Editor king 12

南には巨大な湖である舞雁湖がある。
この舞雁湖の沿岸にある船着き場と湖の中にある金島には、真鍋高成の繁華街がある。舞雁湖は他国の沿岸にも接しており、真鍋家は貿易を行っている。
東の月水州には貴族でもなく、地元の農民や国人衆でもないかつて和泉家の領地へ移り住んできた庶民たちの職人たちが暮らしている。鍛冶職人も多く、武器や鎧を作って他国にも出荷することもある。
ここに清姫の夫である吉野政弘の別邸や職人たちの集会所などかある。清姫と結婚し城からさほど離れていない城下町に吉野家の屋敷か建てられたからである。
これは、和泉五州の王である和泉豪正が城から吉野政弘に会いたいときにはすぐに会えるところに住まわせているためである。
和泉家が百五十年ほど前に、五州の統治者となったときに東の月水州に職人たちを連れてきて住まわせたのだが、他の州のように厳しく統制下には置かれなかった。
湖から来る海賊ならぬ湖賊や、国人衆のうちのならず者らの山賊などがいたので和泉家は討伐軍を派遣して戦を行ったが、月水州はどちらにとっても必要な武器や鎧の生産地だったので、停戦の中立地であった。そのため月水州の統治を任されていた吉野家は、吉野政弘が継ぐまで、ほぼ忘れられていたほどである。
誰が支配者であれ、自分たちの利益を妨げられなければ寺社衆や職人衆は気にしない。
寺社衆は朝廷へ上納を命じられた分に自分たちの利益を上乗せして、国主へ請求する。
職人衆は商人衆と談合して売り、商人衆がまとめて年貢金を納めるために職人衆は年貢を気にしない。
清姫が和泉五州の女王になったとして、利点がなければ葛浦の軍勢として決起はしないだろう。
国人衆は、収穫した作物のうち年貢として現在六割を徴収しているのが、一定期間であれ下がる約定を交わせば納得して傍観を決め込む。だが、新たな女王を擁立するために決起させる決め手になるかは微妙である。
商人衆は、職人衆と国人衆から買い取りを行い貿易している。寺社衆とはつながりはない。
商人衆が決起すれば、職人衆と国人衆も協力するだろう。
かつて、寺社衆が呼び寄せた朝廷正規軍の援軍として挙兵したのが、和泉家であった。
大陸中央の「聖地」朝廷の都である天照御所。
大陸にある全ての国主は、朝廷の天帝アマテラスより国主の地位を授けられて、任されている。
現在の国主である和泉豪正から、子の清姫に国主の地位を譲位する詔書が出されたら、元胡族の血統の者たちも従うだろうか。朝廷の正規軍の派兵を要請する必要があるだろうか。
葛浦伴継は、和泉豪正を討つための計略を練り上げつつあった。
寺社衆の明鑑は城の評議の場に姿を見せたことがなかった。
和泉豪正や清姫の誕生月の宴の祝辞、朝廷からの上納金などの書状が届けられるが、姿を人前に見せないことで有名であった。
「清姫は明鑑殿に会うたことはあるか」
「ございませぬ」
ましらの重蔵や清姫から和泉五州の歴史を聞き出した葛浦伴継は、明鑑という人物に興味を持った。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す