異種属交配 2
女子生徒達の顔には恐怖が貼りつく。
「特に女子は望まない子を宿させられてしまう事もありますから、気を付けるようにと何度言っても言い過ぎることは無いのです…また、女子の場合は子を産まされるだけで殺されることは少ないのですが、それ以上に問題なのは男子です」
全員がある者は恐怖に、またほかの者は不安に彩られた顔で、教師の言葉に耳を傾けている。
「ゴブリンどもも、戦いに出てくるのは主に男ですから討たれて減った後に残った女達。彼女らが子種を得るために我が校の男子で捕まったりした者から搾りつくして衰弱死にまで追い込まれた者も何度かいました。ゴブリンどもに交じってしまった人間の血の出所という意味では、男子生徒の方が遥かに多い。また戦死したり捕まって死んだりした死者の割合は男子が女子の数倍に上ります」
「他、オーク相手に同じ事になる人もいますし、八百万ムカデ相手に大怪我したり暴食バッタやフェアリーマンイーターに捕食される危険もあります。
くれぐれも気を付けるように…」
それからは、いろいろと警告を受け、その後毎日の授業が始まった。
数日後の朝。
最初の日に教師に反発して質問していたリチャードに話しかける者がいた。
背丈はリチャードよりやや大きい、元気な少年だ。
「ようリチャード、いよいよ今日からフィールドワークだな!」
「おはようクリント、今回の課題は決めた?」
「マルティナと一緒に弟切草集めて回復薬を作る」
それを聞いてリチャードは馬鹿にしたように笑い出す。
「おいクリントお前いくつだよ、ガキじゃあるまいしそんなでかいなりして女とお花摘みかよ」
「そういうお前は何にしたんだ」
「俺はもちろんゴブリン退治だよ」
「お前こそ正気かよ、この森のゴブリンは3年だって後れをとられて敗北することだってあるんだぞ。1年生が挑んだって無駄死にするだけだぞ」
「けっ、だからゴブリなんんて雑魚なんだよ。どんだけ数が多くたって広範囲魔法で一網打尽さ。田舎じゃ何匹も倒してるんだ、問題ねえよ」
(そんな単純なもんなら先生も注意しないだろうが)
クリントは心の中で駄目だしをしたが口に出すことはなかった。
「わかったよ、けど一人で戦うのは無謀じゃないか」
「もちろん一人じゃないさ。一緒に故郷から来た連中とパーティーを組んでいくから問題なし」
「一緒に来たと言うと女僧侶に女騎士見習いそれに女魔法使いか」
最初リチャード達をみたときはクリントは「なにこのハーレムパーティー」と思った。
「そうか、まあ無茶だけはするなよ。危ないと思ったら大声で叫べば飛んでいくからな」
「へっ、そんなことあるもんか。土産にゴブリンの首を持っていくから楽しみにしておけよ」
そういい残しリチャードは走り去っていった。