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淫魔剣トリス
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫魔剣トリス 35

「ところで、お前たち魔法石扱ってる店がどこにあるかは知ってるのか?」

 俺はリリィとジュリアに聞いた。

「クリスタル通り一帯に、その手の店が集まってるそうです」
「クリスタル通りか。それってこの街のどこなんだ?」
「確か、この街の東側、旧市街にあるはずだけど…街の人に聞いた方がよさそうね」

 ジュリアもリリィも、詳細な場所までは知らないらしい。他所の街だし、仕方ないが。

「街の人に聞いた方が早いか。あっちに市場があるな。軽く買い物しながら聞けば答えてくれるだろ」
「ローラン様に賛成です」
「そうですね。街の方に伺うのがいいでしょう」

 俺たちは、市場を皆で歩いていた。ヴァルナ―の街は俺達の街とはまた違った趣がある。寒い土地だけに、積雪に耐え、保熱や暖房を充実させようとして、堅牢な作りの建物が多いんだ。

「この串揚げをとりあえず4本くれ」
「あいよっ!200ギルダーだ。旦那、綺麗どころを揃えてますなぁ」
「おいおい、冷やかさないでくれよ」

 鶏肉の串揚げを売っていたので、皆の分を買ってから聞いてみた。
 ジュリアが尋ねる。

「クリスタル通りってどこですか?」
「魔術師さんかい、この市場の北に出るだろ、そっから右に行ったら橋を渡ったら旧市街だ。さらにまっすぐ行くと角にシャルフェンベルク商会って大店がある。その角の右に折れるとクリスタル通りだよ」
「ありがとよ」
「ありがとー」

 教えてくれた串焼き屋にお礼を言い、俺たちはクリスタル通りとやらに向かった。


「ここがクリスタル通りかぁ」
「何というか……ミョーな雰囲気ですねぇ…」

 俺とトリスが思わず口にした一言だ。
 俺達はさっきの串揚げ屋に言われた通りやってきて、シャルフェンベルク商会のある角を右に折れた。ここで間違いないはずなんだが…
 どの街区とも違う、ヘンな町だ。魔術師ってのは変わり者が多いって言うが、ここはそれをそのまま表したような街並みだ。
 
「店の主人も魔術師が多いからね。自分の趣味や嗜好で突き抜けた連中が多いのよ」
「で、でも、悪い人たちの集まりではないですからね」

 リリィが肩をすくめつつ言って、ジュリアがフォローするように一言添えた。
 やれやれ…不安になってくるが、とりあえず魔法石を売ってる店ってのはどれだ?

「魔法石多種取り揃え カウント商会……なんか胡散臭そうねぇ…」
「変に暗い感じですね。女性が入ると純潔を失いそうです」

 リリィさえ呆れ、ジュリアにも手厳しく言われている。俺の眼にもいかがわしい。
 するとトリスが別の店を指さした。

「こっちはどうでしょう?『魔女エクセリスの魔法素材店』」
「こっちはまともそうだな」

 他に店は…と各々が探している。

「魔導師ボーアの魔術工房 小売の客も歓迎」
「グリーングラス&ホール魔術素材商会」
「魔法石加工・販売ハリトン工房商店」

 いろいろありすぎるし、どれもこれも違う意味、いや、違う方向でというべきか、どこかネジが飛んだような雰囲気が漂っている。
 俺達は次第に不安になってきた。
 胡散臭い。
 常人の常識を蹴り飛ばしている。
 そんな店が多く、誰もがもやもやした気分を抱えていた。本当にここに来てよかったのかとさえ思えてきた。

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