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アラサー冒険者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アラサー冒険者 47


「うぉおおおおああああっ、覚悟せよ昆虫ッ!!」
「い、いかんっ!!」

周囲の空気を震わせて、巨大なツノを剣に見立てた美熟女剣士アンナが気合いを込めて絶叫する。
「これがッ、ほんとのッ、ゴキブリ退治だぁああああッ!!!!!!」

轟音。
突風。そして地響き。

すっかり夜が明けたここ、ヘンドリー温泉郷を中心とした村落一帯は、それらが引き起こした激しくも凄まじい破片混じりの粉塵に包まれていったのである。


▽▲▽▲▽▲▽
 エピローグ 
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【ヘンドリー温泉郷の災害】
突然の局地地震により、村落は壊滅。幸いにして住民の死者・負傷者はゼロであったが、村人たちの救出を実施したのはなんと、この山岳に住まうミノタウロス族の一団であったという。
住民たちは彼らの気高くも誇り高い行動に、心からの感謝を示し、共存のための対話が始まった。
瓦礫の山となった村を再び温泉街として復興しようと、本来は人間と敵対していたはずのミノタウロス族とも協力し、再建に向けての工事が始まる。
片ツノの巨大なミノタウロスが先頭に立って力仕事を行い、工事は急ピッチで現在も進行中。
子爵にかわって、新たに赴任した新領主の魔物との協調政策も相まって、ヘンドリー村は十数年の時を経て、人間と魔物の自由商業特区として生まれ変わってゆくのだが、これはまた別のお話。

なお、ミノタウロス族のひとりの少女の強い要望により、傷ついた身を挺して牛族と人間の双方を救って命を落とした英雄の石像が村の中央に建設されることが決まったが、その誇り高き英雄の石像は、なぜか左腕が無いという。

【スコル&ランディ】
数日間生死の境をさまよいつつも、一命をとりとめたスコルはランディに即座に求婚。ヘンドリー村の半壊した教会でささやかな式をあげる。村人と牛族の双方から祝福されるも、「最初の子供には、牛族の隻腕の勇者の名を付ける」という約束を残して、数日後には惜しまれながらも姿を消す。
なお、新郎を蘇生したある熟女聖職者のひそかなはからいにより、新婦のほうも怪我の治療のついでに、悲劇的に損なわれた純潔をこっそり回復したとかしなかったとか。
二人の行方がわからぬ今となっては推測の域を出ないのだが。

【子爵】
瓦礫の撤去作業中、別人のような姿で発見される。正気を失った状態から回復する見込みもなく、中央政府から新たな役人が新領主として迎えられる。
「ゴキブリが・・・ワシのせいで、ワシの浮泳漏悶のせいで、死にかけたゴキブリが復活してしまった・・・」という言葉をうわごとのように繰り返しているが、何者かに潰されながらも時々ホタルのように発光する股間共々謎のままで、現在は聖王国の隔離病棟で療養中。
不特定多数の女性を薬物を使って意のままにしているという周辺住民からの訴えに対する疑惑の究明も含め、意識の回復が待たれるところ。


【追記】
局地地震の発生直後、温泉郷の上空を、下半身を失った状態で飛び去った巨大なゴキブリの目撃情報が相次ぐ。
また、それを追うほぼ全裸のおばさんのにぎやかな一団がいたというが、それも噂の域を出ないのであった。


▽▲▽▲▽▲
 それから 
▽▲▽▲▽▲

ヘンドリーからはるか西方の大砂漠地帯……
小オアシス集落内、居酒屋「トパゾスの女神亭」にて


ぱさっ。
「よう、席は空いてるかい?」
縄のれんをくぐって、商人ふうの男が顔を覗かせた。
「ラッシャイ・・・カウンター席は埋まってるが、相席でよければテーブルへどうぞ?」
顔馴染みらしい態度で答える店主。

ごちゃらっ。

「・・・な、なんだこの散らかり様は?・・・まるで砂嵐が過ぎたような」
ごつっ。
「お、おっと・・・誰だい、こんなところに丸太みたいな大荷物を・・・どういうことだオヤジ?」

「す、スイマセン、あんまり大声出さんでくださいよお客さん・・・酒癖の悪い先客たちがさんざん暴れて、つい今しがた、ようやく眠っちまったんで・・・ああ、そのでっかい荷物を倒さないようにして、そちらのテーブルへ」
ぬきあし、さしあし。
「カウンターのしたにうずくまってるコキタナイのがそうか・・・オヤジも大変だな」
「ヘエ、恐れ入りやす」

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