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刀王伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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刀王伝 5

「…皿洗い一ヶ月で勘弁してやる」
「一ヶ月!?長えよ!一週間の間違いだろ!?」
「間違いじゃねえよ。あと出来そうなら接客もやらせる。それが嫌ならその刀置いてきな」
「チッ…その間の飯と寝床は用意してくれるんだろうな…?」
「ああ、住み込み扱いにしてやる」
「……」
リンは考えた。
(…食堂だから賄い飯は美味えよな…毎朝毎晩あったけえ飯と屋根のある寝床…こりゃあひょっとすると悪くねえかも知れねえぞ…何よりこの店は旅の冒険者の客が多い…“あの男”の手掛かりも得られるかも知れねえ…)
彼は店主の提案に乗った。
「…解ったよ!しばらく厄介にならせてもらうぜ。俺はリン、リン・ヤマトだ」
「おう!ちょうど人手が足りなくて困ってたんだ。従業員を募集しようと思ってたんだが、良い所に来てくれた。俺はジョナサンだ。店ではマスターと呼べ。解ったな?」
「ハイハイ、マスター…」
「ハイは一回!」
「ハ〜イ」
こうしてリンは店で働く事になった…。


それから数日…
「おぉ〜い!!早く注文取りに来てくれよぉ!!」
「オイ!!俺の飯はまだかぁ!?」
「うるせえ客共ぉ!!今行くってさっきから何度も言ってんだろうが!!黙って待ってろぉ!!」
「ごっつぉさん!勘定ここに置いてくぜぇ〜!」
「あ!待ちやがれコノヤロウ!マスター!!勘定だ!勘定ぉ!」
「ねえちゃん!水くれ!水〜!!」
「ねえ…っ!?ふ…ふざけんなっ!!俺は女じゃねえぇ!!」

「ふぅ…やっと人心地ついたぜ…」
「ご苦労さん」
…夜、人気の無くなった店内でリンと店主のジョナサンの二人は一息ついていた。
「しっかしマスター、ここ飯時っつったらまるで戦場じゃねえか…いつもこんななのかよ…?」
「…ん?…ああ、まあな…」
適当に濁すジョナサン。
実はリンが働き出すようになってから客が倍に増えたのだ。
どうもリンを女だと勘違いした男共がリン目当てで押し掛けて来ているらしいのだが…この事は本人には黙っていた方が良さそうだ。
あそこの店に男勝りなオレっ娘の可愛い女の子の店員がいる…と、どうやらインゲル中で噂になっているらしい。
お陰で商売繁盛、大盛況。
雇い入れた当初、厨房に立たせてみたら厨房が震災直後みたいになったので、こいつぁとんだ失敗だったと思ったものだが…いや人ってのは本当に使い方次第だなぁとジョナサンはしみじみ思った。

「…ところでリンよ、お前よくお客達に何か聞いて回ってるが、ありゃ何だ?」
「何だマスター、気付いてたのかよ…実は俺さ、ある男を探してこの大陸中を旅して回ってんだ…」
「ほぉ…人捜しの旅か…一体誰を探してんだい?」
リンは一呼吸置いて、言った。
「……俺の…親父だよ」
「そうか、親父さんか…行方知れずなのか?」
「行方知れずっていうか、良くある話さ…ある日とつぜん俺とお袋を捨てて旅に出て…それっきり戻らねえ。まあお袋に言わせれば、親父はお袋と一緒になる前から放浪の剣士だったそうだからな、あの人はまた旅に戻っただけだって…。ちなみに俺が持ってる刀は、親父が唯一お袋に残していった物なんだってよ」
ちなみにリンの刀は今、寝泊まりしている屋根裏部屋に置いてある。
さすがに帯刀して接客はさせられない。
「…なるほど、それで大事な物だって言ってたんだな。てゆうか放浪の剣士って…お前、図らずも親父さんと同じ人生歩んでるじゃねえか」
「あぁん!?あんな無責任野郎と一緒にしてもらっちゃ困るぜ!俺は家族は捨ててねえからな!」
「お袋さんは…?」
「…死んじまったよ。二年前だ。バカ親父のせいで色々苦労させられたのに、恨み言ひとつ言わねえで…。それで天涯孤独の身の上になった俺は、親父を探す旅に出たって訳だ…」
「なるほどねぇ〜…で?親父さん見つけてどうすんだ?」
リンはニッと笑って、拳を突き出して言った。
「まず殴る!…その後は考えてねえが…まずはブン殴ってやろうと思ってる。このクソオヤジ〜ってな!」
「ハハハ…!!そいつぁ良いや!」
ジョナサンは腹を抱えて笑った。
と、そこへ…

 キィ…

「おう、ごめんよ。まだ店やってるかい?」
扉が開いて一人の客が店に入って来た。
「あぁ、お客さん。すいませんが、もう店じま…いいいぃっ!!?」
「んなぁ…っ!!?」
その客の姿を見たジョナサンとリンは目玉が飛び出んばかりに驚いた。
そこにいたのは一人の長身で大柄な若い女だった。
自身の身長に匹敵するぐらいの長さのある幅広の大剣を背負っている。
顔立ちはかなりの美人で、肌の色は健康的な褐色、ウルフカットにした青みを帯びた頭髪の間からは牛のような角が生えている。
そして胸元にはスイカのような爆乳。
恐らく人間とミノタウロス(半人半牛の亜人)の混血と思しき女戦士だった。
…と、ここまでだったら様々な亜人獣人の暮らすこのニルヴァディア大陸では別に珍しくもない。
問題はその格好だ。
…女はトップレスだった。
つまり乳が丸出しなのである。
…というか身に付けている物と言ったら、両手に革製の籠手、ほぼパンツのような毛皮の腰巻き、両脚にはサンダル状の編み上げ靴…それぐらいの物であった。

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