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死後の人生
官能リレー小説 - ファンタジー系

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死後の人生 7

(イッちゃった……マジあり得ないんだけど……)

 しかし全身に蔓延する余韻は本物。
 身体の芯が蕩けるような心地に頭がボーッとしている。
 その気の緩んだ状態で次の災難が振りかかった。

「んぅっ、ふうううっ……」

 胸と胎内あった謎の感覚が唇に訪れ、

(なに!? なんなのこれ!?)

 と大騒ぎの内心などお構いなしに口内に浸入した。
 唇から口の中程まで異物が存在しているのがハッキリと分かる。
 けれども目の前には人のいない廊下の風景が広がっているだけ。

(やっ、やっ、これ……まるで……)

 後頭部に何かあたり、前へ押すような圧迫を受ける。
 反対に口の中の存在感は咽喉の方へ入ろうとする。
 まるでオーラルセックス。しかも口内を犯すような一方的なもの。

(絶対そう! どうなってるの!?)

 口内を擦るのは亀頭のエラ。触れ方からすると、目の前に立っている状態で口を犯している。
 けれども何も見えない。見えてはいるが人はいない。

(もうわけ分かんないっ)

 泣き出したいのは山々なのに身体は動かず口を使われることをよしとしている。
 口の中には余裕があり息苦しくはないものの、嫌悪感から噎せ返りそうだった。
 しかしそれすらできない。相当奥に捩じ込まれえづくといったような反射的な反応しかできないらしい。

「んぶっ、んふっ、ん……んっ……んふうっ……」

 意図せず漏れる艶かしい鼻息は余りにも小さく、楓の声に消されている。
 授業をこなすことを第一として生徒には無関心という彼女のスタンスは都合がよかったが、今はそれが怨めしい。寝ている生徒を引っ叩いて授業を受ける意味を懇々と説教する熱血さがあればどれほど救われただろう。
 しかし、こういうときだけ教師として見るのはあまりにも都合がいいというもの。

「んんんっ!?」

 口の中の存在感ができる限りの奥の方でビクビクと震えだし、灼熱の粘液が咽喉に飛ぶ。
 途端に青臭い臭いが口に溢れ、鼻に昇り、気管に落ちた。

(あああああ……)

 それは紛れもなく射精。ドロドロした粘液が勢いよく喉を打ち、溜まっていく。

飲め! 飲むんだ!

(今何か聞こえた……)

 直接頭に流れ込んできた謎の声。自分をこんな目に遭わせているもののものだと直感する。
 それは自分を金縛りに遭わせた張本人であり、姿が見えない存在。それは常識を越えた力を持っている人知を越えたもの。自分ではどうにもできないものであると悟らざるを得ない。

(飲みますからぁっ…もうこれ以上酷いことしないでぇっ)

「んっく……んっ……」

 喉が動いた。
 灼熱は確かに胃に落ちて、全身に淫靡な熱を蔓延らせた。



「飲んだ……」

 あまりの感動に直哉は震えていた。
 射精に及んだ瞬間、生前に体内の水分だったものが死後には霊気になっていると思い出し、咄嗟に「飲め!」と叫んでしまったのだが、願いが届いたのか希は本当に精液を飲んでいた。
 正しくは今なお喉を鳴らし、口に放たれる子種を嚥下している。

「っあぁぁ……気持ちよかった……もっと奥まで突っ込めたらよかったのになあ……」

 初めてのフェラチオを体験して自分でも驚くほど噴出した白濁の奔流が落ち着き、軽く腰を揺らして出しきってから逸物を仕舞い込む。
 熱に浮かされたような顔をしている希の口の端からツツツーと精液が垂れていた。

「もったいない。全部飲め≠謔ネ」

 生きているものに取り込ませた霊気は蓄積され濃度を増していく。
 ならば出した全てを取り込ませないと損だと直哉は指で掬い、希の口に押し戻した。

「ふぁ……んっく……はあっ……ごめん、なさい……」
「え?」

 希のか細い声は自分の発した言葉に対応しているように取れる。

(そういえば……)

『そちの霊気を取り込ませていけば、そのうちそちの声が聞こえるようになるじゃろうて。聞かせるか聞かせないかはそち次第じゃが』

 聞かせようとは思っていない。むしろ独り言のようなもの。
 けれどもその言葉には“そうしろ”という、希に向けての意思があった。
 そういう意思を含んだ言葉は相手に伝えることができるのだろうか。
 確信を持てず、何気なしに希の顔を見下ろす。すると魂が抜けたようになっていた瞳に光が宿り、目蓋が頻りに瞬きしていることに気付く。
 次の瞬間、希はガバッと身を起こした。

「動くーっ!」

 両手を伸ばして叫ぶ希の声は注意を引いた。
 微睡んでいた生徒が何事かと首を捻ってしまったほどだ。

(動く? 動けなかったってことか?)

 赤面しつつハハハと笑って取り繕う希を前に直哉は思案した。そしてまた、そう言えば……と思い当たる節があることに気付く。

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