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死後の人生
官能リレー小説 - ファンタジー系

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死後の人生 2

「そうじゃそうじゃ、大事な話をせねばならぬかった。霊となった今、そちの身体には水分の代わりに霊気が含まれておるのじゃ。生きているものに自分の霊気を取り込ませることで憑くことができる。多量の霊気を取り込ませることで身体を操ったり心を操ったりできようになるのじゃ」
「そそそその取り込ませる方法って?」
「簡単じゃ。体内に取り込ませたらよいのじゃ。生きていたときに水分となっていたものが今は霊気となっておるのだから、霊気を自分の中から出す方法は水分を出す方法と変わらぬ。ただし生きた人間が取り込んだ霊気は体外に出ずにとどまり続ける。じゃから自分の霊気を多く取り込ませるほど濃度が高くなる。高濃度にするほど自分の思い通りに苦しめることができるぞ」
「なるほどなるほど……自分の中の霊気っていうのは減らないの?」
「出せば減るに決まっておろう。生きているものの生気や水分を吸収すると回復できるのじゃ。上限はないからいくらでも溜めておけるが、溜めすぎると霊能力者に感付かれて成仏させられるから気を付けるのじゃぞ」
「霊能力者……」
「強力な霊能力者は祓う術を知っていることが多い。成仏させられると有無を言わさず誰かの子として生まれ変わる。そちの言う汚れた世界に誕生するというわけじゃ」
「嫌だっ。絶対嫌だ!」
「うむうむ、そちはわらわと似ておるな。100年の時を経た暁にはわらわとタッグを組んでみぬか?」
「なんの話ですか?」
「地縛霊の刑を全うすると、新たな命として誕生するかわらわのように悪魔に就職するか選ぶことができるのじゃ。なに、100年やそこらで世の中は変わらんじゃろ。もっとも、そちの気は変わってるかも知れぬが」
「そんなことない! 死んでる方がましに決まってるさ」
「じゃといいが、今まで数えきれぬ数の地縛霊の面倒を見てきたからのぉ。同じ場所にとどまる苦痛は想像以上に辛いものじゃ」

 アリスは地縛霊の刑を体験しているこそ悪魔となっている。
 話の流れから直哉はそのことを悟ると同時に言葉の重みを感じた。

「大丈夫。耐えてみせるさ」
「言うのは簡単なのじゃがな。わらわとてそちにばかり気にかけておれぬのじゃ。わらわがいないときは永遠とも思える孤独をずっと同じ場所で」

 刑の辛さをあれこれと述べようとするアリスを止めたのは錆びた鉄扉の開閉音。
 鉄扉を開閉させたのは2人の生徒だった。小麦色にこんがり焼けた肌をした茶髪の女子生徒と、そして。

「うぬ? 直哉の死体が見つかってから施錠されていたはずじゃが……そち、何をしておる?」

 アリスは眉を平坦にして背後を窺う。

「だだだだだだだ、あ、あれ……桜庭……」

 幼女と変わらぬ華奢な身体を盾にして身を隠している直哉が目を向けた先に、短い金髪を逆立てた男子生徒がいる。耳に赤いピアスをしているところからしても不良生徒というのが一目で分かる。
 彼、桜庭翔(さくらばしょう)は直哉のいじめに加わっていた1人。

「そちは死人じゃ。幽霊なのじゃ。向こうからは見えておらんわ」
「そ、そっか……」

 と納得はするも、自分で見る自分自身は生前と見え方が変わらず実感が沸かない。視界に入れた自分の手は実体があり、色もあり、握ると握っているという感覚がある。

「疑っておるの……おーい!」
「わわわっ……」

 アリスが大声を張り上げ、直哉は咄嗟に彼女に隠れていた。そこから恐る恐る翔の方を窺う。

「マジでヤバくない?」
「何が? 俺はちゃんとハゲ島教頭に“頼んで”鍵借りて来たんだぜ?」

 2人はこんな調子で屋上への侵入に関して話し込んでいる。

「ほれ、気付いておらんじゃろ? 向こうにはまだ声が聞こえておらんのじゃ」
「う、うん……まだって?」
「そちの霊気を取り込ませていけば、そのうちそちの声が聞こえるようになるじゃろうて。聞かせるか聞かせないかはそち次第じゃが」
「へぇ……霊気って凄いなあ……」
「使い方次第じゃな。上手く使えるようになればなんともない。それよりほれ、人がいるのじゃ。一方には恨みがあるのじゃろう? このような機会、地縛霊にはまたとあるまいて」
「そうだな……」

 直哉は表情を引き締め、復讐の一歩を踏み出した。

「ね、ねえ……マジでヤるの?」
「あったりめーよ。ここ立ち入り禁止になったんだし誰もこねーって」
「けどウジ虫が死んだとこだよ?」
「んなこたぁ気にすんな。虫けらが死んだくらいで気に病んでたら人生陰鬱で終わるぜ? 蟻の1匹や2匹踏み潰したところでいちいち気にとめねーだろ? その程度のことだよ」

 屋上のへりを背にして翔が希を背後から羽交い閉めにしている。うねった髪に顔を埋めて言う声には嘲りが混じっていた。

「まああいつのお陰で安全に青姦が楽しめるんだ。供養がてら希の身体でも見せてやるか。どうせ童貞、母親の裸くらいしか見たことねーだろーし。あ、あいつの母親ちーせー時に死んだんだっけか」

 黒いブレザーをはだけ、開襟シャツのボタンを外し、ピンクのブラ越しに豊満な胸を鷲掴みにする。そうしながら喉に蓄えた笑みをクククと漏らす翔に、直哉の中の理性が飛んだ。

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