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ガルシーダの闇
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ガルシーダの闇 9

街の子供たちは、街の外へ遊びには出ない。昼間は門番がいるし、夜間は門が閉ざされている。
二十人のうち十人の子供が失踪した。
さらに翌日には五人の子供とその両親が失踪した。五人の子供の家は鍵がかかっていなかった。
シスターが殺害され犯人が見つからないうちに関係者が失踪していく。
「どういうことなのでしょう?」
領主アレーナは眉をしかめて聖騎士シーラに詳しい話を聞いていた時、館に衛兵隊長が驚く知らせを持ってやってきた。
「残り五人の子供のうち、アナベルが、シスター様を殺害した犯人とおぼしき男が、次はアレーナ様を連れ去る、と言い残して去ったそうです」
(バランは、私に対して挑戦してきているようね……)
衛兵隊長ケビン・プライムは衛兵隊の威信にかけて、館の警備を強化して領主アレーナを守る所存であります、と膝をついて領主に礼をした。
「しかし、残り五人の子供たちも失踪する可能性が高いのならば、子供たちを警護するべきではありませんか」
「しかし、アレーナ様」
聖騎士シーラは衛兵隊長ケビン・プライムに提案した。
領主アレーナの警護は聖騎士シーラが、子供たちを警護するのは助手のエミルと自警団。衛兵隊の人数を二手に分けてどちらも警護するのはどうだろうか。
「聖騎士様が領主様についていていただければ、我々も心強い、それならばいかがでしょう、アレーナ様」
「では、そうしましょう」
シスターの葬儀が終わらぬうちに事件が連続している。
アレスは失跡していない子供たち五人とその両親を黒猫亭でしばらく宿泊するように手配した。
「これなら各人の家を警護するより安全だと思います」
衛兵隊長ケビン・プライムは「協力に感謝する」とアレスと握手をすると、自分は領主アレーナの警護の指揮に向かった。
子供たちとその両親の警備はアレスの直属の上司であるバート・ウィリアムが指揮を任された。
「結局は平民は自分たちで身を守れってことか」
バートがアレスにぼやいた。
自警団のリーダー、ジェフ・ウィリアムは酒場で酒を飲んでいた。
黒猫亭の警護は衛兵隊が指揮を取り、事件が大きいため、自警団は衛兵隊の指示があるまで待機を命じられた。
ジェフの父親は、マリーの遺体を見ている。
「あれは、まともな奴のやりかたじゃねぇ。殺しを楽しんでいる奴だ。お前は手を出すな」
ジェフは父親バートに言われてしまった。
アレスに対抗意識があるジェフにとって、これは不愉快であった。アレスは衛兵見習いとはいえ、衛兵隊員の一員である。

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