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ガルシーダの闇
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ガルシーダの闇 32

世界の解れ目は、教会の地下だけではなかった。老朽化して立入禁止の砦の裏にある水が枯れた井戸がある。
その中からジェフは闇のままこちら側に戻ってきていた。
闇にまぎれて水の枯れた井戸の中から出ると、夜明けになると自由行動ができず、人の影に潜んでいる。
肉体がないまま闇で戻って来ているので、幽霊みたいだとぼやきながら、夜になると徘徊していた。
殴ろうが蹴ろうが、すっと人の体や物はすり抜けてしまう。
ふわふわと浮かぶことも闇の中ならできる。
街の住人たちが夜に何をしているか、のぞいている。メイドのナタリーにはびびって近づかない。
シェリー・ボレルの裏の顔を知ったのは酒場にやって来たシェリーの影にジェフが入り込んだからである。
シェリー・ボレルは、街の住宅地に一軒家を持っていた。
娼婦たちはここでシェリーの作る魔法薬を使っていた。避妊薬や堕胎薬である。
シェリーは金貸しではなく、娼婦たちに避妊薬や堕胎薬を密売して稼いでいたのである。
魔法薬の密売は罪となる。
それでも娼婦たちにとって避妊薬や堕胎薬は必要不可欠であった。
シェリーの避妊薬や堕胎薬について安宿の初老のオーナーは知っていたが黙っている。
娼婦たちは中出しさせないで男たちをパイズリやスマタ、手こき、フェラチオ、あと特殊だが肛門挿入などでいかせるテクニックを持っている。それは妊娠しないようにするためだ。しかし、プロではない素人くずれの娼婦たちはそうではない。
昼間、夫が留守の間に行きずりのセックスを男たちと娼婦として楽しむ女たちは、妊娠しないように避妊薬を買う。また堕胎は聖職者だけが母体に危険がある、またはレイプなどにより孕んだ場合などに行えることになっている。ただし、こっそり誰にも知られず処置するにはシェリーの薬が便利であった。
その薬の作り方は薬を使った女たちの血液や愛液を触媒にして作り出されていた。
ジェフはシェリーが違法術師であることを知り、これは脅迫に使えると思った。
ただ、今は肉体を失った影である。
シェリーの家には研究室と処置室があった。
処置室では妊娠した二十代後半の娼婦女性と白衣をまとい黒い革手袋をしたシェリーがいた。
女性に丸薬を飲ませて眠らせた。
女性は寝ている間に全裸にされている。
シェリーは手袋の指先に小瓶から液体を垂らすと、指先を女性の膣内に入れた。しばらくそのまま動かさず薬をなじませる。
指先を抜き出し、シェリーが呪文を詠唱する。
ジェフは何をしているかわかった。
女の胎内で魔物を召喚しているのだ。
魔物は胎児を食い、すぐに異界へ消えていく。一滴の血も流さす、母体には痛みもないうちに一瞬で胎児の命も未成熟な体も、この世界から消え去る。
(ひでぇな)

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