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ガルシーダの闇
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ガルシーダの闇 23

「ジェフは料理は得意だ。チビの頃から母親が料理に興味があるのに気づいて教えたから、それなりにできる」
衛兵バートからそう聞いていた。
衛兵バートの妻は結婚して引退したが、黒猫亭の女料理長だったのをカーラは知っていた。
だからジェフにコックを任せて、フレデリカにはウェイトレスをカーラはさせてみることにしたのである。
ちなみに、娼婦ドリーは他の仕事をする気がないらしいが、ジェフから離れたくないので街に長期滞在したいらしい。ドリーにも「ウェイトレスをしないか?」と声をかけてはみた。
「あなたがもし結婚しても関係ないし、忠誠は変わりません。もし子供ができたら産ませてください。母親だけで育てますから、安心してください」
ドリーはそう言って、にっこりと笑った。
フレデリカをウェイトレスにして、ジェフがコックをしたことでカーラの酒場の来客が増えた。
料理の味が良くなったのと、フレデリカの接客が明るく元気がいいので好印象だったのだ。
シーラとエミルが食事に来ることもあり、したがってジェフの子分の若者たちのたまり場なのはかわらず、ジェフ父親の衛兵バートが「俺の息子がコックをしていて、がんばってるみたいだ」と衛兵たちに話した結果、アレス以外の衛兵たちもカーラの店に飲みに来るようになった。
以前は旅商人たちが客として多かったので、酒場は街の住民たちの憩いの場という感じではなかった。
娼婦たちは店の中で客引きをしなくなった。客層が変わってきて、商売がやりにくくなったのだ。
髪の薄い痩せた初老のゲイ。安宿の主人ドナート・ベルトーニは、酒場の巨漢のおネエの主人のカーラに、娼婦たちはどうしたらいいのかと酒を飲みながらカーラの部屋で相談していた。
安宿で暮らしている娼婦たちは酒場や酒場の周辺で客引きがしずらくなった。
しかし、領主エミリアに娼館設立と営業許可をもらえる見込みはない。
それを厨房でジェフは盗み聞きしていた。
建物の壁の中の影はつながっている。
(これは、俺が酒場で働いたせいでもあるな……)
ジェフはどうしたらいいか考えた。
娼婦たちもはたらいて生きていける場所が必要なのは、他の者たちと同じことである。他の街には娼婦たちが働ける娼館がある。
しかし、安宿の宿代よりも高い金額を娼館の主人に払うことになる。娼館の主人はそれを領主に上納する。
(領主にわからない場所に娼婦たちが働ける場所を作ればいいってことか……)
ジェフはそう思いついたが、それをどうすればいいかわからない。
娼婦たちが蓄えている金をまとめて出資すれば、黒猫亭ぐらい大きな建物の娼館を作れるだろう。
資金面の問題はこれで解決できる。
売り上げた利益を出資した娼婦に還元するには、領主に搾取させなければいい。
領主には見つからずに娼館を作ることができれば、それも可能。
または、領主に娼館を許可させて、利益を徴収させなけば……。
ジェフは領主エミリアを快楽漬けにして娼婦たちの生きる場所を確保するために、まず娼館設立と営業の許可を取りつけようという結論を出した。

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