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ガルシーダの闇
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ガルシーダの闇 3

ある伝説が残されている。
エルド家の当主ローラは、フェルナンデスがアルリギスから騎士に叙任される以前に各地を放浪しているまだ在野の士の頃に出会っていたという。
ローラも名家エルド家の当主であることを隠して、遺跡などを探索するトレジャーハンターとして活動していた。
ある遺跡探索でローラとフェルナンデスは手を組み、財宝を発見した。しかしフェルナンデスは分け前はいらないとローラに言った。フェルナンデスは大陸に残る魔法の知識を収集するために遺跡探索をしていたのである。
ローラが見つけた財宝を奪いにきた賊をフェルナンデスは魔法で撃退したという。
僕が魔法を使えることは内緒にしてくれないかとフェルナンデスはローラに言った。
ローラはフェルナンデスに惚れた。
やがて子を授かった。子を連れて一緒に探索の旅をすることはできない。ローラは、フェルナンデスの前から姿を消した。
フェルナンデスが遠征してきた時、ローラと再会する。父と娘で殺し合いをさせるために産んだわけじゃないわ、と娘のエミリアにローラは諌めるように言ったという。
しかし、それを聞いてエミリアはフェルナンデスと戦うことを決意した。
フェルナンデスはローラが孕んだことを知らなかった。エミリアは母ローラを孕ませて捨てた男と誤解したのである。
フェルナンデスに三度ローラの娘エミリアが戦いを挑むが敗れて、フェルナンデスの弟子となることに決めた。
フェルナンデスの子はエミリアだけだった。それよりエルド家はフェルナンデスの末裔となった、という伝説である。
フェルナンデスは大アルリギス王国が成立すると神聖騎士団を結成した創始者である。
騎士団の武芸指南役にエミリアが迎えられ、エルド家の武芸は騎士団に伝えられた。
そのためこうした伝説となったものらしい。
ゴーレム馬に乗った二人の若い女性は、ガルシーダの街の門の前で門番の若者に声をかけられた。
「許可証を提示していただけませんか?」
馬上の二人は若者がどうやら冗談を言っているのではないとわかり、ようやく馬から降りた。
一人は金髪の色白の美女である。彼女の顔立ちが整っていて美しく、門番の若者は落ち着かない。しかし軍服に白銀の鎧をまとっていて、腰には上物とわかる剣を下げている。表情も笑顔はなく凛とした雰囲気である。
もう一人は従者らしく、革鎧にシャツとショートパンツで日焼けした小麦色の肌やふくよかな胸元や太腿が色っぽい乙女である。黒髪のショートカットで小顔だが、にこにことした子供のような柔らかな笑顔を見せている。
「我々は王立神聖騎士団の者である。巡察史として任務遂行中につき通行を許可していただきたい。聖騎士シーラ、そして補佐保安官エミルだ」
「何をしておるかっ!」
若者の上司らしい髭づらの男がやってきた。
通行許可証の提示と確認だけで何を手間取っているのかと、険しい顔つきで若者を怒鳴りつける。
「通らせてもらってもいいですかぁ?」
エミルが二人に声をかける。シーラはもうゴーレム馬にまたがっている。
若者がシーラの言ったことを上司に伝えると、上司の顔つきは、さらにこわばった。
「失礼致しました。どうぞお通り下さい」
「のちほど、巡察史が領主様に面会を希望にて館に訪問すると伝えられよ」
シーラが門番の二人に言うと門をくぐり入って行った。
エミルが叱られている若者を見て、すまなそうな表情でそれに続いた。
(通行許可証を用意すればいいのに)
王都周辺の地域では、騎士団の紋章が刻まれた鎧やゴーレム馬の馬具で騎士だと門番もわかり足止めされることはない。
しかし、地方に行くと通行許可証の提示が求められることが頻繁にある。
エミルは足止めされるたびに人目が集まってしまうことが気になる。旅商人たちは荷馬車や幌馬車の馭者が降りずに許可証を提示してあっさり入って行く。
シーラに言わせれば「騎士がいるということだけで抑止力があるのだから目立って何が悪い」ということらしいが、真面目に職務遂行している門番に気の毒な上に、街の中でもむだに目立ってしまう。
露店で買い食い一つできない。

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