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ガルシーダの闇
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ガルシーダの闇 17

夜になるとアレスは教会に戻り、領主との孤児たちの援助金支給の交渉がうまくいったことをバートに話した。
「あいつらは親に捨てられたわけじゃないってことをしっかり教えてやることが大切で、そこを間違えなければ大丈夫だと思うがな」
バートは食屍鬼に殺害されたと公表されずに親たちは失踪か病死とされるとみていた。孤児たちは自分の親が死んだ理由を隠されて知らずに育つ。
「そうですね」
アレスは月を見上げながら、考えて黙りこんでから「親たちの死体を子供たちに見せるべきだったのでしょうか」と言う。
「そうだな。そうしたら、子供たちは衛兵に志願するだろうな。そうなったら俺が全員、いい衛兵にしてやるよ」
バートは妻を強盗に殺害され、衛兵に志願した人物である。悪党を憎んでいる。
親を殺したのは異界のものではなく、嘘でも悪党だと子供たちには教えてやればいいとバートは考えているらしい。
二人は教会を見つめた。
中で何が起きているか、それを知るには命をかける覚悟が必要だとアレスは思っていた。
バートは子供たちを孤児にした怪物を自分が本当は殺してやりたかった。
しかし、子供たちと同じで、若い聖騎士シーラとエミルに任せるしかできないことが悔しい。
誘き出す餌はバランの遺体とエミル。
聖騎士シーラは食屍鬼が現れるのを待っている。
「これは……」
現れた食屍鬼は片羽をむしりとられていた。左の乳房が食いちぎられていた。
顔や体には鉤爪で裂かれたような、深い傷を負っていた。
奥部屋と子供たちがいた部屋の扉の前で敵に立ちふさがるように、ふらつきながら立ち上がる。
「ねえシーラ、もしかして子供たちを守ったのは、この子なんじゃないのかな?」
「そうね」
聖騎士シーラは、呪文を詠唱して、剣で食屍鬼を袈裟切りにして消し去る。
(子供たちを守ってくれたんだね。もう子供たちは大丈夫だよ。だから、むこう側に帰っていいよ。優しい子供たちの妖精さん、ありがとう)
エミルは目を閉じて、子供たちを守った食屍鬼のために神に祈りを捧げた。
子供たちの親たちの生肉を食った敵は何処に行ったのか。解れ目からあちら側に満腹して帰ったのか。それとも……。
エミルは地下室の壁に呪符を貼りつけて解れ目の力を弱める。
聖騎士シーラやエミルでも解れ目を消滅させることは不可能。
やがて王都から法術師が派遣されるだろう。とりあえずこれで、この解れ目からは、魔物が現れることはないだろう。
誰かがエミルの法術を破り、解れ目から魔物を召喚しないかぎり。


ジェフ・ウィリアムは娼婦ドリーではない別の娼婦を酒場のそばで見つけて声をかけた。
ドリーは三十歳の女盛りだが、今夜見かけて声をかけた娼婦はジェフよりも若いかもしれない。
女の要求してきた金額はドリーより高めである。
ジェフはあとから奪い返す気なので、女の要求してきた金額より少し高く金を渡した。
「じゃあ、いこうよ!」
ジェフの手を握り安宿のほうへ行こうとした。
「外でやりたいんだけどダメか?」
「うーん、でもなー」
「宿代分はいくらだ?」
「それなら外でもいーよ。でも、恥ずかしいな」
「部屋でやっても同じだろう?」
「そうだけど……」

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