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ガルシーダの闇
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ガルシーダの闇 15

「マリー・メイシーを殺害する前にバランがここに飼われていた子を見つけたのかも」
以前に聖騎士シーラとエミルがバランと戦った時に、異界から召喚されたものにバランは守られていた。その時は石像に化けているガーゴイルで、シーラの剣に刺されて倒れたバランをガーゴイルが連れ去ったのである。
森の外れで石像に戻ったガーゴイルが発見された。召喚された魔物は、解れ目から遠く離れることができないのだ。
食屍鬼は遺体を食うが生きた人間は命令されなければ襲わない。解れ目の力を封じているだけでは決壊する場合、法術師は害のない魔物を召喚して、解れ目の力を弱めることがある。
食屍鬼は子供には優しく、歌声を聞かせて眠らせるという。
しかし、生きた人間を食べた食屍鬼は遺体より生きた人間を好むようになるのである。
「おそらく夜になれば、姿を現します。聖騎士シーラが始末してくれるはずです」
「それが終わるまで、誰も近づけないほうがいいってことかな」
アレスはエミルに言った。
(そのバランも死んだってことは、あとはガキどもの親を食ったやつがいなくなれば事件は解決か……)
衛兵バートはため息をついた。
「バランは邪教団をこの街で再結成するつもりだったのでしょうね」
衛兵バートは、バランの腐った遺体に唾を吐きかけたくなった。



事件はまだ終わっていないことに気づいている人物がいる。領主の館のメイド、ナタリーである。
自警団のリーダー、ジェフは娼婦ドリーの部屋で眠り、昼過ぎに起きて街に出てきた。
早朝にバランの遺体が発見されたことを自警団の若者たちが噂しているところにジェフがやってきた。
「で、誰が見つけたんだ?」
「卵売りのハリーですよ」
ハリーは鶏を飼っている農家から卵を買い取り、朝一番で市場に店を出す。
「し、死んでた。臭かった。衛兵さんを連れてきた。衛兵さんが持ってった」
ハリーは情緒障害の青年で、口調に独特の訛りがある。小太りでいつもおっとりとしていて笑っている。
年寄りの足の不自由な母親と暮らしていて、早朝に門番が来るのをいつも待っている。
卵を売り切るとすぐ街を出て帰宅するハリーが大通りの端で泣いているので、若者たちが声をかけると、ハリーは死体にびっくりして卵を落として割ってしまったらしく困って泣いていた。
「おい、ハリーはどうやって街に入ったんだ?」
門が少し開いてたらしい。マリ婆さんが死んでから、不審人物を警戒して衛兵は早朝、ハリーが来ても門を開かない。
アレスが門番の日は、アレスはハリーに同情して卵を一個買ってやり一番乗りで入れてやる。
他の衛兵は決まった時間に門を開く。
それが今朝はなぜか開いていた。
「アレスは黒猫亭にいたはずだし、衛兵はほとんど領主の館を警備していたはずだから、誰が門を開けたんだ?」
「わかりません。でも、ハリーが見た死体の男の服装が黒いロープで、俺らが探していたバランと似てるって言うんで、教会に行ったら、なぜか、教会も立ち入り禁止なんすよ」
「アレスに聞けば何が知ってるんじゃないか?」
「アレスも黒猫亭にいねぇんすよ」
「じゃあ、本当にバランってやつの死体かもしれねぇな」

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