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ガルシーダの闇
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ガルシーダの闇 14

子供たちは、手足の長いコウモリの羽を持つ「妖精さん」に遊んでもらったとバートに言う。
子供たちがいたのは手前の部屋で、奥の部屋には「妖精さん」に見たり入ってはいけないと言われていた。
奥の部屋はシスターマリーの遺体が安置されている。残りの失踪した大人たち、子供たちの親たちもすぐに発見された。
「子供たちには見せられんな。早く外に出せ」
バートは部下たちに命じた。 
シスターマリーの遺体も、子供たちの両親も無惨なありさまである。野犬や狼にでも喰われたように上腕や尻や太股、腹部の肉はえぐり取られていた。人の柔らかい部分を狙って。
バートは遺体の肉に人の歯形のような痕が残っているのを見つけた。
誰かが死体をここで喰った。子供たちの両親は生きたまま喰われた。
「いかれてやがる……」
子供たちは何を見たのだろうか。
コウモリの羽を持つ全裸の女の顔には目がなく、鼻と口だけ。腰のあたりまである黒い長い髪をしていたというのである。
バートがぐったりして教会で待っているとアレスと聖騎士の助手エミルがやってきた。
「おい、ケビン隊長はどうした?」
アレスはケビンが領主の館の警備を継続していて、バランの遺体確認はエミルがすることになったと言う。教会の外で衛兵たちに保護されて「お家に帰らせて」と言う子供たちに、バートは「お父さんとお母さんに頼まれて、君たちはしばらくおじさんたちのところで待っていることになった」と言う。
「えー、どこにいっちゃったの?」
「お仕事で街から離れることになった」
子供たちは置いていかれたのは「妖精さん」と遊んでいたからだと泣き出した。
子供たちはとりあえず衛兵たちが駐屯する宿舎に保護することになった。
エミルはバランの遺体を確認した。
「間違いありません、バランです」
「シスターが殺害された。腐った男の死体が放置されたり、失踪した街の住人が妖精とやらに喰われた。あんたたちはこれをどう説明するつもりだ?」
バートが険しい目つきでエミルを見つめた。
マリー・メイシーはこの土地を守護する法術師で、彼女が殺害されたことで異界との扉が開かれた。
エミルはバートとアレスに教会には誰も入らせないように頼んだ。
あまりにも現実離れしている話だったが無惨な遺体を前に二人はエミルの話を信じるしかなかった。
「遺体をかじった子を、こちら側に来られないようにしないと」
エミルの話によると、生きた人間を食べた食屍鬼は人を襲うようになるという。
「ガキどもが喰われなかったのはなんでなんだ?」
「マリー・メイシーが、子供たちが見つかっても食べられないように、しっかり魔法をかけてあったんだと思います」
教会は異界との解れ目に建てられるもので、聖職者として法術師が駐屯している。
教会に出入りしている子供たちが、地下室に入って遊んでしまい、異界の者に遭遇する可能性もマリー・メイシーは考えていたのだ。

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