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樹海の怪人ハデス
官能リレー小説 - ファンタジー系

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樹海の怪人ハデス 3

(私、歓迎されて、おもてなしされているみたいだわ。なんでだろう。ただの主婦を誘拐しても身代金なんて。でもお金持ちみたいだし)
「珈琲はいかがかな。ペルセフォネの淹れる珈琲は香りも味もすばらしい」
「あ、どうも」
絶品である。
(インスタントコーヒーや缶コーヒーが飲めなくなりそうだわ)
「瞳の虹彩というものを知っているかね。生体認証などで使われているようだが。
指紋と同じように同じものは世界に二つとない芸術だとは思わないかね」
「よくわからないわ。だって瞳の虹彩なんて見た目じゃわからないもの」
「私たちは様々な情報を総合的に理解しているが、それを普段は意識することはない。匂いや肌ざわり、声の響き、ぬくもり、鼓動のリズム。瞳もその中のひとつなのだよ」
人の印象はわずかな時間で決まる。三秒から七秒とも言われると奈緒美は夫に聞いたことがある。
「気づいてないだけで、瞳のちがいもちゃんと認識してるってこと?」
「そうだ、だから私は君をここに連れてきた」
奈緒美はコーヒーカップを皿に置いて青年を見つめた。少し手が震えた。
「私の目玉もほしいってこと?」
「そうだ。でも代わりの目玉は好きなものを選ばせてあげよう。悪い条件ではないと思うがね」
目玉フェチの美青年から目をそらし、ペルセフォネを見つめた。
(この娘も目玉を交換したのかしら)
「目玉を交換するのは快感をともなう。それも強烈な快感だ。男には全ての精を吐き出し衰弱して息絶えるほどに。交換に耐えられるのは女性だけだ。君の瞳を私の瞳を交換はできないのが残念だよ」
青年はそこまで話すと珈琲を口にした。
(快感って……)
「交換してくれたらすぐに元の世界に君を帰してあげよう。こちらに残ることもできる。ゆっくり選ぶといい。どんな瞳が館にあるか知りたけば、ペルセフォネに聞けば教えてくれる」
(えっと、目玉を取り出して、別の目玉と交換するってことよね。すごく痛そうなんだけど)
奈緒美はスプラッタのホラー映画やサイコホラー映画で猟奇殺人の犯人が目をえぐるシーンなどを想像した。
「退屈かもしれないが、一人で館の庭園から出ないようにしたまえ。森には怪物がいるから」

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