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既に詰んだ領主に転生した男の物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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既に詰んだ領主に転生した男の物語 17


…その時、救いの女神が現れた。
「…あ〜らオーギュスト殿下ったらこんな所にいらっしゃいましたのね〜?お探しいたしましたのよ〜?」
一人の美しい夫人が僕達の間に突如として割って入って来たのだ。
「…お…おぉ、公爵夫人か。今ウォルコンスカヤ伯爵と話をしていた所で…」
「あら、ウォルコンスカヤ伯爵。さっきクランベル伯爵夫人が探してたわよ。あっちの方で…」
…と言いながら向こうの方を指差す“公爵夫人”と呼ばれた女性。
「「「…!」」」
その目を見て僕も両親もハッと気付いた。
渡りに舟…ではなく、この人は僕を助けてくれようとしている。
これに乗らない手は無かった。
「…そ…そうですか。お教えいただき、ありがとうございます公爵夫人。…では殿下、私共はこれにて…」
「あ…ちょ…ちょっと待ちたまえ…まだ話は…」
僕らは尚も引き止めようとする大公に背を向け、逃げるように立ち去った…。

会場の隅。
何とか逃げきった僕と両親はホッと一息つく。
僕は父に尋ねた。
「…お父様、あのお方は…?」
「…うむ、あれはルクサーナ・エルヴィン公爵夫人閣下だ」

エルヴィン公爵夫人

その名を聞いて、頭の中では(あれが有名な未亡人か・・)と先程の公爵夫人の容姿を思い返していた。

(確かに花や毒婦と賛否両論あるけれど、それでも宮廷内で影響力があるというのは頷けるなぁ)

あの大公を相手に、優雅に矛先を変更させた手腕は見事だった。

そして

(噂以上の美しさだったな・・)

と喉元過ぎれば何とやらということを考えていた。

そこへ、一人の女性が親しげな笑みを浮かべながら近付いて来た。
「あら伯爵、ロザリー、ごきげんよう。クリストフもお元気?」
母の友人の一人にして僕のセフレ…ローウェン侯爵夫人マルチナだ。
「こんにちは、マル…いえ、ローウェン侯爵夫人」
僕は思わず彼女を名前で呼んでしまいそうになり、慌てて言い直した。
「うふふ…♪」
そんな僕にマルチナ夫人はニコニコ笑っている。
「ちょうど良かったわ。今日はクリストフに私の娘を紹介するわね」
「え…?」
そういえばマルチナ夫人には娘がいると聞いていた。
「シャルロッテ、ちょっとこっちにいらっしゃい」
「なあに?お母様…」
呼ばれて来たのは僕と同い年くらいの可愛らしい少女だった。
「娘のシャルロッテよ。年はクリストフより1つ上の11歳。ロッテ、この子はクリストフ。ウォルコンスカヤ伯爵の息子さんよ」
「ふ〜ん…でもお母様、私お子ちゃまには興味ないのよねぇ〜」
「…いや“お子ちゃま”って…君だって子供じゃん…」
「何言ってるのよ。あなたとは“せいしんねんれい”が違うの。体は子供でも心は立派な“れでぃー”なんだからね」
「…はあ…」
「まあ、クリス。良かったわねぇ〜。素敵なフィ…お友達が出来て…」
「ええ、とってもお似合いだわ。二人とも仲良くするのよ」
母達は嬉しそうだ。
てゆうか今“フィ…”って言いかけたよね?
フィ…何だよ!?
僕は答えを求めるように父の方を見た。
(知らんぞ私は…)
…というように彼は肩をすくめる。
母は僕に言った。
「クリス、シャルロッテちゃんと一緒にちょっとあっちで遊んで来なさい」
「え…?」
一瞬、戸惑う僕に母は耳打ちした。
「…もちろん“普通に”ね…」
「…はあ…(ですよねぇ…)」
「しょうがないわね。本当は私に相応しい“しんし”が良いんだけど、今日の所はあなたで我慢したげるわ」
「ハイハイそいつぁどうも…」
僕は渋々ながらも差し出された彼女の手を取った。

そして手を握ったまま歩いていく僕とシャルロッテ。
途中何度もシャルロッテが背伸びをした言動をする為、その度に他の貴族たちからは微笑ましいと子ども扱いされたり、笑い者になったりして結構恥ずかしい思いをした。

(ううん、確かにシャルロッテは母親であるマルチナと同じで可愛いし、成長が楽しみだけどこの性格のままだとちょっと面倒だなぁ)

それに、先ほど言いかけていた「フィ・・」というのはおそらくアレの事だろうし、決して他人事ではないという事が僕の頭を悩ませていた。

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