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亡国の王子
官能リレー小説 - ファンタジー系

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亡国の王子 10

「黙れ!貴様ら野蛮な人間の言う事など信じられるか!大体密猟が目的でないなら、何故人間がこんな街道から離れた森の奥深くに居るのだ?・・・そ、それもよりにもよって、そんな破廉恥極まりない格好で!!」
そう言うとエルフの少女はリードの男根を思い出したのか、エルフ特有の先の尖った細く長い耳を先まで真っ赤にして押し黙る。
「い、いや、それはその・・・」
確かに、全裸に外套を羽織っただけの格好で何を言っても説得力に欠ける。
ましてリードは不可抗力とはいえ男性器が見事に勃起しているのを見られているのだ。
地面に押し倒されたエルフ美少女と外套だけを纏った全裸の男。
普通に考えればこれ以上怪しい光景は余り無いだろう。
「こ、これにはイロイロ事情が有って・・・」
「どんな事情だこの変態共!」
エルフの少女は初めて男の男根を凝視してしまった恥ずかしさから、必要以上に感情的に成ってしまっている。
リードの方も改めて第三者から指摘されると腹立たしさよりもツイツイ恥ずかしさを感じてしまう。
「・・・いかが致しましょう殿下?」
エルフの少女を押さえ込んでいるサラも、この微妙な雰囲気に困惑を隠せない。
「・・・そうだね。エルフの居住地が近いという事は、どうやら僕たちは思った以上に森の奥まで迷い込んでしまったようだ。どの道魔族の監視を抜けて砦まで行くには、何所かで危険を冒さないといけないし、何より彼女の言う通りこの格好じゃ目立ってしょうがない・・・悪いが彼女にエルフの村へ案内して貰おう」
「申し訳ございません殿下」
「謝る事は無いよサラ。今、僕が魔族の手から逃れられているのは全て君のお陰なんだから」
「ちょ、ちょっと!誰が村まで案内するって言ったのよ!!」
エルフの少女は招かれざる招待客の勝手な決定に随分不満が有りそうだ。
だが、残念ながらエルフの腕力では鍛え上げられたサラの腕を振り解く事は出来そうに無い。
彼女はそれを悟ると悔しそうに俯いたのだった。


エルフの村に案内されたリードは、千年以上を生きてきたというエルフの長老達の前で、自らに起こった事情を洗いざらい話した。
最初はさすがに疑われたものの、それらが全て真実だと知ると、普段は人間に対して隔意を抱いているエルフ達もリードに対して同情してくれ、エルフの守護する森で狩りを行った件を許し、魔族の手の届かない場所まで道案内を就ける事を約束してくれた。
もっとも、さすがにリードが提案した魔族に対する同盟には二の足を踏んだのか、外界の勢力争いに対しては中立を保つのがエルフの国是であると断った。
リードとしては魔族に対して何を甘い事をと思ったが、国を失った亡国の王子という今の自分に、エルフたちを説得するだけの力は無いと理解する位の理性は残っていた。
かくてエルフの村に一晩泊めてもらったリードとサラは、翌朝案内役のエルフと共に砦に向かう森の抜け道をエッチラ、オッチラ歩いていたのだった。




「・・・で、ドーしてこの私が、こんな変態共の道案内をしなきゃいけないの!?」
「まあ、まあ、落ち着いてよエル」
「エルフィーネ!人の名前を途中で切るんじゃない!!」
案内役のエルフの少女は、苦々しげな表情でリードの顔を睨みつけた。
睨まれた彼は苦笑するほかない。久々に落ち着いて一晩ぐっすり寝た彼の剛根は朝から勃起したままだったからだ。
「すまないな、エルフィーネ。長老の指示があったとはいえ、案内役までしてもらっておいて今の物言いは失礼だった。」
今の彼はエルフ達から譲り受けた、エルフ男性の服の上にエルフ達が使う革鎧を身にまとっていた。
馬は1頭しかいないので、3人で交代で乗る事にしてサラが乗っていた。
板金鎧装備なので疲れるだろうと思ってのリードなりの心遣いだった。

「ねえエルフィーネ、あなたは外の世界を見てみたいとは思う?」
馬上のサラが話しかけると、「いや、別に・・思わないけど。」とややつっけんどんに返された。
「森を出るまであとどれくらいかな。」
雰囲気を察してリードが別の話題を出す。
「今の歩みならあと3日ほどかな。3日後の夕暮れ時にはこの森を出ることになると思うけど?」
まだ機嫌が悪いようだ。

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