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亡国の王子
官能リレー小説 - ファンタジー系

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亡国の王子 9

心配気に見つめるサラの前でリード仰向けに寝そべり、「すまぬ…」と言う言葉と共に、眼を閉じた。
(殿下…暫しの御辛抱を…)
サラは額に掛かるリードの前髪をそっと整え、そこにゆっくりと唇を落とすと、獲物を調達すべく森林に分け入って行った。
サラが去るのを待っていたかのように、サワサワとした風がリードの身体を優しく撫でた。
それにより外套の裾が捲れ上がり、合わせの布は左右に落ちた。
深い眠り途中のリードはそんなことには気づく筈もなく、太腿に撓垂れる陰茎を外気に晒したまま、小さな寝息を立て始めた。
一時間ほどして、そこにサラが戻ってきた。
背には狩ったシカの死骸を負っている。
どうやら狩ったその場で血抜きも済ませてきたようだ。

「まあ・・・。」

寝息をたてていたリードの股間は朝立ちして剛根ぶりを見せていた。
秘所がじわりと性欲を染み出させるのを感じながら、サラは彼を起こす。

「殿下、シカを捕えてきました。食べましょう。つきましては薪を集めなくてはなりませんが、手伝い願えますか。」
「ん・・・かまわないよ。集めよう。」
ふたりは辺りの木の枝を集めて火を起こす。

「ふう。暖かいな。」
外套だけのリードはさすがに少し寒かったらしい。
「はい。温まっておいてください。」
「ありがとう・・・・ん?あそこに何かが。」
リードから見てサラの真後ろ方向の森の中に、何か動くものが見えた。
正体不明の何かを見て、サラは身構える。

「ん・・・・人かと思えばエルフか。」
現れたのは、緑色のチュニックを来たエルフの女性だった。

エルフとは、千年を超える寿命を持ち、僅か百年ほどで死ぬ人間から見れば永遠とも思えるほどの生命を享受する美しく高貴な森の妖精である。
彼らは高い知性と魔力を持ち、アンビエント地方のみならず大陸各地の森に集落を作り暮らしている。
アンビエント帝国との関係は、良くも悪くもないといった所で、現在の魔族との戦争に対しても局外中立を宣言している。
魔族の追っ手に追いつかれたのかと、一瞬心臓が跳ね上がったリードだったが、相手がエルフと知って少しだけ落ち着いた。
だが、安心するのは少し早かったようだ。
「密猟者め!今すぐ手を上げなさい!さもないと矢を射掛けるわよ!!」
エルフは矢の切っ先を正確にリードの心臓に向ける。
彼らが少しでも抵抗しようとすれば、すぐさま矢を射る心算のようだ。
(不味いな・・・気が付くのが遅れた・・・)
エルフの弓の腕前を疑う者は、少なくともこの国には居まい。
「くッ、殿下!!」
事実上主君を人質に取られているためサラも迂闊には動けなくなってしまったようだ。
「エルフの守護を受けている森で狩りをしてはならない!この掟はこの大陸に住む全ての猟師が知っている事!その掟を破った以上それなりの罰は受けてもらうわ!!」
(無念・・・ここで死ぬのか私は・・・。だというのに・・・いや、これは死の危険が迫っているからか・・・。)
自分に矢が向けられているのを見ながら、ますます自らの股間が力強くそそり立つのを感じていた。
そしてリードは両手を挙げたが、その為にふぁさっという音とともに、外套が落ちた。
「まあ・・・・。い、いやこんな時にな、何をそんなにしている?」
そのエルフの前に、リードの剛根があらわになった。同時にエルフがほほを赤らめて動揺したのを、サラは見逃さなかった。
「とあっ!」
「何をする!」
とっさにサラが飛びかかってエルフの両腕を掴んでそのまま押し倒す。
シュピャッ!
彼女はサラに押し倒されながら、あらぬ方向に矢を撃ってしまう。
そのままふたりは揉みあいになるが、サラのほうが筋力では勝っていたようで、何とかエルフを抑え込む。
抑え込まれたエルフに近づき、リードは声をかけた。
「済まない。我々も食料が無く、やむなく狩りをしたのだ。許してほしい。」

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