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亡国の王子
官能リレー小説 - ファンタジー系

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亡国の王子 5

後方にリードを乗せたサラの馬が速度を落とした時、夜空の月は高く登っていた。
月明かりが生い茂る高い樹木を輝かせ、地面には幾重もの黒い影をつくり出していた。
「殿下、ここらで休息といたしましょう。お疲れになりましたでしょう?」
「あ・・ああ。」
リードは疲れてはいなかったが、急いで馬上より降りると、隠すように外套で身体を覆った。
「殿下?お寒いのですか?」
「ああ・・少しな・・」
確かに、全裸に外套だけの恰好では、流石に寒さも感じたが、リードはそれ以上に自分の身体を恥じていた。
跨がる馬上での激しい揺れは、リードの睾丸を直接に刺激し、恥ずかしいまでの勃起をみせていたのだ。

ドクン!
リードの心臓が大きく脈動する。
(うっ、まただ。またあの発作が出た、落ち着け私!)
ドクン!
(うっ、女が欲しい、女が欲しい、だけど駄目だ駄目だ・・・!!)
彼は魔族女性とHを繰り返したために、周期的に強烈な性欲衝動が発生して女なら誰でもよいから抱きたくて抱きたくて仕方なくなってしまうようになっていた。
ドクン!
(落ち着け私、ううっ・・)
彼の視線がサラを捉える。
彼女のスタイルの良さは鎧の形にも表れていたし、鎧を着用しない軽装での姿も、舞踏会などで何度か目にしていた。
「で、殿下!お苦しいのですか!?もしや、魔物共に呪いをかけられたのですか!?」
顔を真っ赤にしながら苦しげに荒い呼吸を繰り返すリードの様子に、サラは顔色を変える。
(い、イケナイ!リード様をお助けせねば・・・だが、どうやって!?)
間の悪い事に今居るのは人気の無い荒野で、最も近い村まで馬を飛ばしても二日はかかる。
例え村に着いたとしても、その村に医者が居るとは限らず、まして本当に魔物に呪いをかけられたのだとすれば、それを解くには解呪の魔法が仕える高位の司祭か魔術師を探さねばならない。
(ああ・・・どうすれば良いんだ!?)
どれほど悲惨な戦場でも、常に冷静さを保つ事が出来るサラだったが、主君の苦しげに悶える姿に、すっかり取り乱している。
「どこが苦しいのですか殿下!?何か・・・何か私に出来る事は・・・」
「私に構うな…構わないでくれ…」
リードは掠れた声で、サラの視線から逃れるように背を向けた…
配下の、況しては女性であるサラに、このように興奮した陰部を気づかれたくは無かった。
このまま彼女の好意に甘えでもしたら、自分はサラに対して何をするかも分からず…リードはそれが怖かったのだ。

「殿下…」
リードは背を丸め、膝を抱えるように寝そべっている。
サラには分かっていた。
リードが啻ならぬ状態に陥り、それを自分に気づかれぬよう、やせ我慢しているということを…
サラはリードの項に浮かび上がる汗を拭いながら言う。
「お気など使う必要はございません…
近衛騎士として幼少の頃からアンビエント帝国に仕える身、殿下の為ならどんな苦難なことでも、私にとっては喜びに変わるというもの…」
「……サラ…」
背中を向けているものの、か細い掠れた声に、抗いは感じられなかった。
「お熱がおありのよう…汗をお拭きいたします…」
サラはリードが身体を覆い隠している外套を、ゆっくりと剥がしていった。

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