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亡国の王子
官能リレー小説 - ファンタジー系

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亡国の王子 21

「はい、ですが殿下がこうしてご無事なお姿でお戻りになられた以上。私としましても、愛する娘の父として、早く正式に結婚式を挙げてやりたいのです」
「気持ちは分かるが・・・だが、私は両親と姉弟たちを失ったばかりで喪に服している身だ。まして、まだ帝都は魔物どもの手にあり、今からそれを奪還せねばならない・・・そんな状態で式を挙げるなど・・・」
「いいえ!だからこそ式を挙げるのです!私はこの式を同時にリード殿下の仮の即位式代わりにしようと考えております。無論正式な即位は帝都奪還後に、帝都の大聖堂にて行います。ですが、帝室の直系がリード殿下しか残っておられぬ以上。血の存続は帝国にとって急務なのです。何より多くの国民に対し、帝国の不滅を宣伝するには、これ以上の策はございません!」
バンセル公爵は自分の言葉に説得力を持たせようと声に力を込める。
だが、彼の声には、この機会に次期皇帝であるリードを抱き込み、帝国開放後の自分の権力を確固とした物にしようという野心も見え隠れしていた。
(それでなくとも、バンセル公爵家の勢力は帝国において他の貴族より頭一つ飛び抜けている。父上が崩御され、帝都アールノーラポリスが魔物共に占領されてしまった今、例え帝国を再建出来ても、帝室の力の低下は避けられないだろう。そんな状態で実力者であるバンセル公爵に、皇后の父として、そしてやがては皇太子の外祖父としての権威まで加わったら、帝国における独裁権力を与える結果に成るかも知れない・・・)
考えたくは無いが、最悪の場合自分の代かその次の代で、アンビエント第三帝国は、バンセル公爵家を王家とするアンビエント第四帝国に成りかねない。
とはいえ今のリードでは、バンセル公爵の力を借りなければ、帝国の再建どころか、帝都アールノーラポリスの奪還すら果たせぬだろう。
結局、リードは明確な返事を避け、少し考えさせてくれと言ってお茶を濁した。
「ふぅ〜疲れた〜・・・」
今や仮の王宮と成ったバンセル公爵の館に与えられた自分の部屋にやって来たリードは、貴賓室の片隅に備え付けられた風呂に浸り旅の疲れをとった。
この浴室はリードのような貴人専用に造られており、贅の限りを尽くした広大なバスルームは、小さなプールほどもあり、浴室全体が白い最高級の大理石で敷き詰められている。
湯船を一杯に満たすお湯には、バンセル公爵家特製の薬湯が混ぜられており、疲労回復だけでなく、肌をつるつるさせる効能が有るという。
「シンシアの肌があんなに綺麗なのは、このお風呂に入ってるせいなのかな」
リードはお湯に首まで浸かりながら、小さな声でそう呟いた。
彼としても、シンシアとの結婚自体が嫌な分けではない。
むしろ、リードの方も、婚約者であり、幼馴染でもある彼女自身には好感を持っており、もしもこれが平時であれば、喜んで承諾しただろう。
だが、今や帝室最後の生き残りであり、アンビエント帝国の事実上の皇帝であるリードにとって、バンセル公爵という巨大な権勢を誇る人物と縁戚関係を結ぶか否かは、個人の好悪を超えて高度に政治的な判断を要する。
(メリットにしても、デメリットにしても、両方大き過ぎて迂闊に判断出来ない・・・)
今までは、父親である皇帝が全てを判断し、皇太子であるリードはその決定に忠実に従っていれば良かった。
しかし、今やリード自身が最終的な決断を下す立場にあり、その決断には常に帝国の未来がかかっているのだ。
僅か18歳の少年には重過ぎるプレッシャーに、リードは思わず身震いしてしまう。
湯けむりで満たされた浴室で湯につかりながら考え込んでいたリードに、かけられる声があった。
「失礼しますリード様。お背中を流しに参りました。」
音もなく歩いてきたのだろう。その声はリードのすぐ近くから聞こえてきた。
ちょうど考え込んでいて注意力が散漫になっていたリードは、振り返って答えようとしてようやく相手の正体に気付いた。
「じゃあ、お願いしよう・・・・・って、シンシア?」
湯船から振り仰いだ彼の眼に入ったのは、一糸まとわぬ姿のシンシアだった。
「うわあ・・・」
彼は息をのんだ。というのもシンシアの胸が大きいのは彼も知っていたが、その大きさと言い美しい形といい、かつてないほどの物であったからだ。
(シンシアってこんな素敵な胸の持ち主だったんだ)
リードは正直、感激していた。彼女ほどの美少女が規格外と言っていいほどの美巨乳も併せ持っていたことが、うれしくてならなかったのだ。
(イヤイヤ!落ち着け僕!)
「ど、どうしたんだいシンシア?こんな夜遅くにわざわざ?」

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