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亡国の王子
官能リレー小説 - ファンタジー系

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亡国の王子 18

「ご覧下さい殿下、アレが目的地であるソロモン城砦でございます」
亡国の王子リードが、幼馴染の近衛騎士であるサラの手によって、魔都と化した首都アールノーラポリスから救出されて十日余り。
彼らの苦難の旅もようやく終わろうとしていた。
「フーン・・・あんまりパッとしないお城ね」
首都アールノーラポリスに聳え立つ純白の優美な王城と比べ、ソロモン城はあくまでも防衛のみを考え建てられている。
その無骨さが少女であるエルフィーネのお気に召さないようだ。
「仕方あるまい。王城や領主の館なら民に対して威厳と安心感を与える必要があるが、あの城の役割は飽くまで東部国境の防衛拠点だからな・・・もっとも、バンセル公爵領の中心都市バンセルは、帝国第二の交易都市で、その賑わいは首都アールノーラポリスに勝るとも劣らぬと聴く。その中心に在るバンセル公爵の館は、その優雅さから白鷺城とも言われているそうだぞ」
「じゃあ、そっちを期待しておくわ」
そう言ってエルフィーネは小さな笑みを浮かべる。
始めは頑なだったエルフの少女も、どうやら随分打ち解けたようだ。
だが、あと一歩で目的地に着くというその時、突如として空から数十匹の魔物が舞い降りてきた。
「あはははは!ようやく見つけたわよ坊や!」
「ま、待ち伏せか!?」
(畜生!あと一歩だってのに!!)
魔物たちの中で、ただ一人漆黒の飛竜に跨がり、高笑いを上げるその女魔族をリードが見間違えるハズが無い。
その女は紛れも無く、リードの家族の仇であり、魔族の長である女魔王ジュリアだった。
「鬼ごっこはここまでよ坊や♪勝手に逃げたおしおきに、今夜はタップリ可愛がってあげるわ♪」
それを合図に周りの魔物が一斉にリードたちに襲い掛かる。
「くッ!お下がり下さい殿下!」
サラはとっさに背中に主君を庇いながら剣を抜く。
「サラ!僕も戦う!」
「いけません!ここは私が防ぎます!殿下はエル殿と一緒に城砦までお逃げ下さい!」
だが、ジュリアにはリードは勿論サラもエルフィーネも逃がす心算は無かった。
「この泥棒猫が!安心しなさい!あなた達もキッチリ嬲り殺しにしてあげるわ!」
魔物たちはジュリアの指揮の下、統制の取れた動きで空から襲い掛かる。
必死に奮戦するリードたちだったが、人数の差と空中という地の利を奪われている為、確実に体力を消耗させられていく。
「ハァハァ・・・」
「どうしたの?息が上がってるわよ?」
ジュリアが嘲笑するように、パーティーでただ一人の戦士であり、前衛で壁役となって奮戦するサラの呼吸が荒い。
壁役であるサラが倒れれば、非力なエルフと王族としての嗜み程度にしか鍛えていないリードなど、煮るも焼くも思いのままだ。

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