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大淫者の宿命星
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大淫者の宿命星 13

「どこでするの?」
「トイレとか、風呂場とか、人に見られないところでする」
「見られたら、すごく恥ずかしい?」
「そりゃ、恥ずかしいよ。それに集中できないと思うけど……」
「集中?」
「目をつぶって、やらしいことを思い浮かべる」
「それから、どうするの?」
「自分の手で勃起してるやつを扱く」
彼女はそう聞いてから、瞑想法の原初の方法かもしれないわね、と言った。
「瞑想ってしたことある?」
「たぶんないよ、座禅とかヨガとかのやつ?」
「それも瞑想法だけどね」



目を閉じて、何かを思い浮かべる。
その間に何かをする。
それで気持ちを解放する。
俺はそれで射精しちゃうわけだから瞑想ではない。そこで彼女は言った。
「オナニーしてもいいけど、射精しちゃダメ、わかりましたか?」
意識を何かに強く集中することで、念の力が生まれてくる。
それを何かに込める。それが、どんな念かによって、あと何に込めるかによっていろいろな呼ばれかたがあるらしい。
オナニーの場合は、射精することで念が込められた精液ができている。それをトイレで流したり、浴室の排水口に流すなんて「もったいないでしょう」と彼女は言うのである。
「どうしてもしたくなったら、フェラチオしてあげるから、一人でしないでね」




これが俺の最初の修行だった。彼女は的確に俺に適した修行を指導したわけだ。
彼女のフェラチオは気持ちよかった。
彼女とタクシーに乗って待ち合わせた居酒屋のある駅で降りると、仕事帰りの人たちがちょうど帰宅する時間帯だった。
姉は、目の前にいるラフ過ぎる俺の服装と彼女の容姿や服装を見て「美女とゴブリン」と言った。
誰がゴブリンだ。
酒を飲みながら姉は彼女に俺の子供の頃はどんな子供だったか、初めは笑いながら話していた。
姉が「あんたも飲みなさい」と言い出す。俺はこの焼き鳥があればいい。
すると彼女も「少し飲んでほしいな」というので、姉がすすめる酒を飲んだ。
コーラをウィスキーで割った酒は口当たりがよくて、おいしいが、かなり酔った。
トイレで食べたものを全部吐き、胃液まで吐いてふらつきながら戻ると、姉が泣きながら飲んでいた。何事かと思って彼女に聞くと「帰ったら話すから」というのでそれ以上は聞かなかった。
「またね、お義姉さん」
彼女は俺から姉の家の住所を聞いて、タクシーに乗せて帰した。俺は義兄に電話を入れてタクシーで帰したことを伝えた。
俺たちもタクシーを拾って帰った。俺は目を閉じていても世界が揺れている状態で、タクシーの中で彼女にもたれかかって少し眠った。
タクシーがマンションの前についたときには、吐き気はなく、どうにか歩けるぐらいには酔いがさめた。
「で、なんで泣いてたんだ?」
「お義さんの気持ちに気がついてないの?」
「どういうこと?」
「お義姉さんは、あなたのことが好きなの、だから、失恋して泣いていたの」
「えっ、なんだって?」
彼女は姉が来たとき、すぐにわかった。
顔では笑顔を作っているが、まるで家族を亡くして葬儀に参列する人のような感情を感じた。
それでも、好きすぎる弟に会いたいという気持ちに抗えなかったのだ。
「お義兄さんにプロポーズされて、お義姉さんは断ったそうよ。本当は私、弟のことが好きで、もう忘れてくださいって伝えたそうなの……」
「でも、結婚してるよ」
「お義兄さんは、それでもかまわないから僕と一緒にいてほしい、きみの全てを愛してるんだ……って言ったそうよ」
それで、あんなに酒をすごいペースで飲みまくって泣いてたのか。
「弟のことをよろしくお願いします、って泣きながら頼まれた。けど、ね、まだすごく未練たっぷりなのがわかるの」
「俺にできることはないよ」
「お義姉さん、かわいそうだよね」



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