PiPi's World 投稿小説

賢者ルシャード
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 10
 12
の最後へ

賢者ルシャード 12

討伐隊の指揮を任されたスレイヤーのクロードは、ルシャードの提案に呆然とした。
「それなら、兵士を死なせた言い訳にはなるわ。
でも、なんで?」
「結界を作ったネクロマンサーは、もしかしたら、もう生きていないかもしれないんだ。
だから、森の中に踏み込んだ人を誰でも襲うんだ。
スケルトンやゴーレムは制御しきれなかったら、術者はもう襲われて死んでいる可能性が高い。
森に作られた結界を破壊するには、術者が解除するか結界の力の源を絶つしかない」
「だから、森ごと焼き払うってわけね」

クロードは姉弟の顔を見つめて、頭を抱えた。それしかないと言われても躊躇した。
「なら、兵士たちを残して森に一人で行ってネクロマンサーを探して、やめてくださいって交渉してくればいい。
ネクロマンサーが死んでいるかもしれないけど、それなら指揮官が犠牲になって部下を撤退させたことにできるもの。
無駄に兵士たちの命を散らす指揮官など必要ない。
私たちも旅の途中だし、あとは自分でなんとかすればいいわ」
シルヴィアはクロードにそう言った。
「しかし……」
「あとは教会にいるプリーストにでも詳しい事情を説明すればいい。
職務放棄と情報漏洩で処罰されて、称号剥奪されて兵士に格下げで済むかもよ」
「姉さん、言っても無駄だよ」
「だって……」
「食事ありがとうございました。クロードさん。
これ以上、協力できなくてすいません」


地元民たちは森に出没するスケルトンを退治してほしいが、森そのしているものが無くなるとは思っておらず、森を焼き払えば不平不満の声が上がるはずだ。それを気にしているクロードは決断できない。
たしかに森で獲物や食用の植物や果実などを採取している地元民は森がなくなったら困る。
「地元民に直談判したほうが、きっと話は早いよ。焼き払ったあと開墾すればいい農地になる」
「この地域の領主なら、がめついから年貢がさらに取れるとわかったら、クロードに森を焼き払えと言うでしょうね」
姉弟が野営地から出て行ってしまって、クロードは考えた末に、結局は兵士たちをつれて森に行き火を放ったのだった。


これにより、森に出没するスケルトン騒動は解決してしまった。
森は灰塵に帰したが、完全に魔法の効果も消え失せて誰が何のために闇魔術を行ったのかは、まったくわからなくなった。
神聖教団がこの事実をつかんでいたら、調査のために森を立入禁止にしていたはずだ。

ルシャードは確かにあらゆる魔法に興味があるが、スケルトンがゴーレムと素材が違うだけだとわかってしまってガッカリしていた。
死人がこの世に未練があり、スケルトンになって徘徊しているという噂が迷信だと知った。
実際にスケルトンと遭遇して、人骨ではなく動物の骨で作るほうが強いと考えていた。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す