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クロス・クロニクル
官能リレー小説 - ファンタジー系

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クロス・クロニクル 5

「ブラボ〜♪」
イリヤはまるで他人事のように手を叩いて喜んでいる。
「いや、見事だったね〜。ザコ兵士とはいえあの人数をたった2分で倒しちゃうんだもん…ねえ、クレア少佐」
「は!イリヤ様」
「次は君が相手をしてあげると良いと思うよ」
「解りました!…ククク…私はそいつらのようにはいかんぞ…」
クレアは薄笑いを浮かべてレオンに歩み寄りながら、腰に下げていたサーベルを抜いて構えた。
「抜けぇ!!レオン=ハルト!いざ尋常に勝負だあぁ!!」
「良いでしょう…」
そう言うとレオンも曲刀を抜き放ち、構える。
「でやあぁぁー――――っ!!!!」
クレアはサーベルを突き出してレオンに向かって突進した。

「あぁ…っ!!」
家の中からその様子を見ていたクィルルは思わずハッと息を飲む。

次の瞬間…

キイィン…ッ!!

両者の刃が一閃した。
一瞬の事で何が起きたのか解らなかったが、気付いた時には既に二人は擦れ違った後で、互いに背を向けて立っていた。
「フッ…私の勝ち…」
クレアは微笑を浮かべる。
バリイィッ!!
次の瞬間、彼女の着ていた軍服は粉々に砕け散り、彼女の魅力的な肉体が露わとなった。
「そ…そんな…っ!!」
身に着けている物は軍帽とパンティとブーツのみという、あられもない格好となったクレアは、訳が解らないといった表情のままバッタリと倒れた。
「あら、殺られちゃった…クレア少佐、おっぱい大きいしオマ○コの具合が良いんで気に入ってたんだけどなぁ…」
大してショックという訳でもなさそうにポリポリと頭を掻くイリヤ。
そんな彼にレオンは刀を向けて言う。
「安心なさい。峰打ちです。私は女性は斬らない…」
「フェミニストだねぇ。しかしその優しさは命取りになるかも知れない。気を付けた方が良いよ」
「ご忠告、ありがたく受け取らせていただきます。それで、どうします?もうあなた一人です。まだ私を捕らえるつもりですか?」
「確かに僕は非力だ。でも勝算が無い訳じゃあない」
「この状況を覆せると…?」
「うん、思うよ。例えばこんな手を使ってね…」
そう言ってイリヤがローブの中から取り出したのは一丁の拳銃だった。
彼はその銃口をレオンに向ける。
「なるほど、そう来ましたか…」
「うん、確かに僕はお父様から君を生かしたまま連れて来いと命じられている…でもその際の“状態”については何も言われていない。つまり、こいつで手足を撃ち抜かれて動けなくなった君でも良いって事だよね。もちろんお父様も同じお許しくださるだろう。あの方は君を必要としているが愛してはいない。残念ながらね…さあ、今度は僕が君に尋ねる番だよ。どうする?…まぁ、僕としては君が素直に降参してくれれば、これ以上に良い事は無いんだけどね…」
「ふむ…」
レオンは何やら考え込んでいたが、やがて口を開いた。
「一つお聞きしたいのです。あなたは剣を持った相手に銃を向けるという行為に対して、罪悪感や劣等感のような物は…」

パアァンッ!!!!

彼の言葉が終わらない内に銃口が火を吹いた。

銃弾はレオンの頬を掠めて後ろの壁にめり込んだ。
「…人の話は最後まで聞く物ですよ」
「それは時と場合によるね。悪いけど今の僕はそれほど寛容じゃないんだ。降参するのか、しないのか…それだけ聞かせてくれれば良い。次は右腕だよ?」
「困りましたねぇ…」
その時だった。
「く…っ!!」
大砲によって開いた穴から褐色の人影が飛び出したかと思うと、レオンとイリヤの間に立ちふさがった。
クィルルだ。
レオンの危機に居ても立っても居られなくなり飛び出したのだ。
全裸のままだが、気になどして居られなかった。
彼女はレオンの盾になるように両手を広げて叫んだ。
「こ…こ…この人を撃たないでえぇぇっ!!!」
その下半身は恐怖でガクガクと震えていた。
「誰、君…?」
首を傾げるイリヤ。
クィルルは言った。
「こ…この人がどういう人で、あなた方の目的が何なのかは私には解りません!でも一つだけハッキリしている事があります!この人が良い人だって事です!そしてその良い人の敵っぽいあなた方は悪い人達です!」
「うわぁ…何て単純な理論…そしてこっちの質問は無視?」
「この人は…私のこの褐色の肌を美しいと言ってくれた…ありのままの私を受け入れてくれた…私を人として扱ってくれた初めての人なんです!」
「……」
「……」
「「「……」」」
そのクィルルの言葉に、イリヤもレオンも兵士達も言葉を失った。
「…?」
謎の沈黙に当のクィルルは首を傾げる。
(…え? 私今何か変な事言った…?)
沈黙を破ったのはイリヤだった。
「……あぁ…レオン、やっちゃったねぇ…君は実に罪深い男だ…」
「……」
それに対してレオンは何も応えず黙ったままだ。
「ちょ…ちょっと、一体何なんですか…?」
クィルルは訳が解らない。
そんな彼女にイリヤは同情混じりの視線を向けて言った。
「…お嬢さん、このレオンはね…目が見えないんだよ…」

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