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ヲタクエスト
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ヲタクエスト 4


ブタオ達は気付かなかったが、すぐ側に街道と思しき道があり、そこに一台の馬車が停まっていた。白馬の四頭立てで馬具から車体の壁面、車輪にまで華麗な装飾が施された豪華な馬車で、車体には金で縁取られた紋章…オフィーリアたち騎士の胸甲にあるのと同じデザインの物があしらわれていた。
「…無事であったか…」
オフィーリアは馬車を見てポツリとつぶやいた。
「あ…あれは…?」
ブタオが尋ねると彼女は答えた。
「さる高貴なお方の馬車だ。我々はあの車の中にいるお方が隣国へ参る道中の護衛として供をしていたのだ。…そこでオークに遭遇した…」
「え?で…でもぉ、あの馬車、護衛の騎士、一人もいないみたいですが…」
「…当たり前だ。我々全員、君達の救出に出払っていたのだからな…」
「うぇ…?」
ブタオは疑問に思った。
「す…すいません。た…助けてもらってこんな事言うのもなんなんですが、み…皆さんは…そ…その…護るべき大切な人を放ってまで、み…見ず知らずの僕達を助けに来てくれたんですかぁ…?」
「…何だと?何が言いたい?」
オフィーリアはブタオをギロッと睨み付けた。
「…あぁ!!い…いや、べ…別に難癖とかじゃないです!ごめんなさい!も…もしもですよ!?もしも他にもオークがいて馬車の方が襲われたりしたら、た…大変な事になっちゃってたんじゃないのかなぁ…なんて思ったりしましてですね…。あの、せ…せめて、1人2人くらい馬車の周りに残しておくべきなんじゃないかなぁ…と思いまして…す…すいません…こ…こんな事言える立場じゃないんですけど…」
…本当に言える立場ではない。だがそれは疑問としては当然の疑問だった。
「き…貴様ぁ!!黙って聞いていれば…!」
激昂した一人の女騎士がブタオに詰め寄りながら剣の柄に手をかける。
「ブヒヒイィ〜!!?ご…ごご…ごめんなさいぃぃ!!!ゆ…ゆ…許してくらさぁ〜い!!」
ブタオは尻モチをついて後ずさりする。
「いいや許さん!我々の恩情に対してそのような無礼な物言い…」
「よせ!」
オフィーリアが右手を出して遮った。ブタオと女騎士との間に立ちふさがった彼女はブタオを見下ろして言った。
「君…名は確かブタオとか言ったな。これは君には関係の無い事だ。旺盛な好奇心は時として身を滅ぼすという事を良く覚えておくが良い…」
「は…は…はい…はいはい!も…ももも申し訳ございません!に…にに…二度と申しません…!」
ブタオは震えながら土下座してオフィーリアや女騎士達に謝った。
「ふむ…」
オフィーリアは踵を返し、馬車の方へと向かう。
「フンッ…運の良いヤツめ!」
ブタオを斬ろうとした女騎士も抜きかけた剣を鞘に戻して去って行った。ブタオはホッと胸を撫で下ろしながら思う。
(た…助かったぁ…てゆうかブタオって名前じゃないんだけどなぁ…)
だが訂正できる雰囲気ではなかった。それに彼にはこの“ブタオ”という呼び名の方が妙にしっくり来る物があった。オフィーリアが間違えたのも無理は無い…。本人すらそう思っている程であり、ゆえに別に訂正しようとも思わなかった。

(こっちの世界でも僕は虐げられる側なのかぁ…)
ブタオは自分は異世界でも虐げられる側だと思い知らされ、心は深く沈んでいたが、その直後、胸の奥から強い憤りと女騎士達に対する劣情が込み上げて来た。
(…悔しい!悔しいぃ!!いくら騎士だからって、あんな態度…あいつら犯してやりたい!!チ○ポをマ○コに突っ込んで犯しまくってヒィヒィ泣かせてやりたいぃ!!)
だがすぐに我に返ったブタオは、自分の中にそんなドス黒い感情があった事に驚く。
(…ハッ!!僕は何を考えてるんだ!命を助けてくれた人達に対して何て事を…!)

オフィーリアは馬車の前に片膝を付き、頭を垂れて言った。
「ご無事で何よりでございました殿下。オーク共は残らず退治いたしましたゆえ、どうかご安心くださいませ…」
窓ガラスには紗がかかっていて良く見えないが、中にいるのは若い女性のようだ。ブタオは思う。
(殿下って…何か良く分かんないけど、よっぽどエラい人が乗ってるんだなぁ…)
すると馬車の中から高く澄んだ声が聞こえて来た。
「フフ…済まぬのう、無事で…本来ならばオークに襲われて命を落としておったものを…」
「ブゥ…?」
ブタオは首を傾げた。なぜ無事であった事を詫びるのだろうか?どうも皮肉めいた響きを帯びているのも気になる。
「で…殿下!そのような事を仰らないでくださいませ!我々一同、殿下の御身を案じて…!」
オフィーリアは顔を上げ、必死に弁明するように馬車の中の人物に訴えた。
「…もう良い、白々しい…。して、先程からそこにおる妙に恰幅の良い若者は何者じゃ?」
「は…はあ、彼はオークに襲われていた一行の生き残りでございます。殿下が同行をお許しいただければ次の村まで送り届けてやろうかと…」

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