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ヲタクエスト
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ヲタクエスト 3

「す…済まん!大丈夫か!?」
「は…鼻血がぁ…!で…でも大丈夫れす…」
ブタオは女騎士達と共に彼の元へ急いだ。

「ひ…氷室くん!!」
案内された場所には更に4〜5人の女騎士達と氷室がいた。氷室は地面に寝かされていた。彼の身体の周りは流れ出た血で池のようになっていた。
「うええぇぇぇぇ…い…いだいよおぉぉ…だずげでぇ…おがあざん…おがあざぁん…」
氷室は腹を押さえながら涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにし、大小便を垂れ流しながら泣きじゃくっていた。そこにはいつもブタオをイジメていた悪魔のような表情は無かった。その光景にブタオは思わず普段イジメられていた事もオークから逃げるために囮にされた事も忘れて氷室に駆け寄って叫んだ。
「氷室くん!だ…大丈夫!?」
「ブ…ブダオおぉ…いだいよおぉ…だずげでぐれえぇ…」
「お…お願いします!ひ…氷室くんを助けてください!お願いしますぅ…!」
ブタオは女騎士達に懇願した。だが彼女達は何の手当てもせず、諦めたような表情で氷室を見下ろしているだけだ。
「な…なんで助けてくれないんですかぁ!?こ…このままじゃ氷室くんがぁ…!!」
「…私に任せろ…」
そう言いながら歩み出たのはブタオを助けた赤髪の女騎士だった。彼女は氷室の横に片膝を付いてしゃがみ込んだ。
「よ…よかったね、氷室くん。今この人が手当てしてくれ……」
だが、次の瞬間、彼女は腰の剣を抜くと何の躊躇いも見せずに氷室の胸に突き立てたのだった。
「ゴバアァ…ッ!!?」
氷室は大量の血を吐き出した。その後、女騎士の方を見て何か言いたそうに口をパクパクと動かしたが、すぐに動かなくなった…。
「ブフオオォォォォーーーッ!!!?な…ななな何で殺したあぁぁーーっ!!!?」
ブタオは絶叫して女騎士に掴みかかった。
「……」
女騎士は自分に突っ込んで来たブタオを平然とかわした。
「ぶべぇ!?」
ブタオは地面に激突した。
「…彼はもう手の施しようが無かった。ならば一刻も早く苦しみを終わらせてやるのが人の道というものだ…」
当然の事のように言う女騎士。
「そ…そんな…」
ブタオは氷室の死体を見つめてつぶやく事しか出来なかった…。

「では行こう諸君、いつまでもこんな所でモタモタしている訳にはいかん」
「「「はっ!!」」」
赤髪の女騎士が剣を鞘に収めながら言うと、他の女騎士達もキビキビとした動作で撤収を開始する。女騎士はまだ氷室の死体を見て呆然としているブタオに気付き、彼の肩に手を置いた。
「何をしている?置いて行くぞ」
「ブフゥーッ!!ひ…ひ…人殺しとは…い…一緒には行かないぞぉ…!」
「ここにいたらまたオークに襲われるが…」
「行きます」
「フッ…素直で良い。ついて来い」
「隊長…!」
女騎士の一人が言った。
「我々は現在、極めて重要な任務を遂行中です。部外者と行動を共にする訳には…」
「なぁに…構わんさ。最寄りの村まで連れて行ってやるくらい良いだろう…」
赤髪の女騎士はブタオの方に向き直って言った。
「そう言えばまだ君の名を聞いていなかったな。私の名はオフィーリア…エルフィール王国軍、第7近衛騎士隊長、オフィーリア・ド・ローライトだ」
「あ!ぼ…僕は緒田 太男(おだ ふとお)と申しますです!みんなからは“ブタオ”と呼ばれております!」
「オタ・フトー?変わった名だな。服装も妙だし、一体どこの出身だ?」
「日本ですが…」
「ニホン…お前、知っているか?」
「いえ、そのような地名は聞いた事がありません」
「ふむ…よほど遠い地なのだろうな」
「い…いやぁ…てゆうか異世界なんだと思いますぅ…」
「な…何!?異世界から来ただとぉ!?」
「あなたは異世界から来たというのですか!?」
「うぇ!?は…はい!たぶんそうなんじゃないかなぁ〜って…」
“異世界”という単語が出た途端に態度を豹変させる女騎士達。
(一体どうしたって言うんだ…ハッ!まさか…)

【以下、ブタオの妄想】
オフィーリア『あなた様こそこの世界を破滅から救う勇者様に間違いありません!』
女騎士A『素敵!抱いてください!』
女騎士B『私も!勇者様の赤ちゃん産みたいわぁ〜♪』
ブタオ『ハッハッハ!そんなに焦らなくても全員ちゃ〜んと種付けしてあげるから安心したまえ!ワッハッハッハ!』
全員『キャ〜♪♪♪』
………
……

「ぶへへぇ〜…そ…それじゃあまずはオフィーリアたんからぁ…」
「…一体どうしたというのだ?急に黙り込んだかと思ったらブキミに笑いだしたぞ…」
「…恐らくそこはあまり深く追求しない方が良いと思われます…」
一瞬だけ妄想の世界に遊んでいたブタオだったが、慌てて我に返った。
「…ブフゥ!!し…失礼しました。それで、異世界から来た人間がどうしたんでしたっけ!?」
「…いや、別に何も?ただ、異世界から来ただなんて面白い事を言うヤツだなぁ…と思っただけだ」
「異世界があって、そこから人が来るなんて事…あるはずありませんからね」
「ブヒィ!?そ…それだけ!?」
「うむ、それだけだ」
「じゃ…じゃあこの世界が危機に陥った時に異世界から勇者が来る〜みたいな伝説とかは無いんですかぁ!?」
「何だそりゃ?君、失礼だが頭は大丈夫か?」
「夢見すぎです」
「ブフゥ…も…もういいです…行きましょう…」
てっきり自分は選ばれた勇者か何かに違いないと思っていたブタオは妄想…もとい理想が打ち砕かれてガックリと肩を落とした。

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