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ヲタクエスト
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ヲタクエスト 2

「はぁ…はぁ…な…何なんだよぉ…一体どうなってんだクソッ…全部ブタオのせいだ…グスン…アイツ帰ったらマジぶっ殺してやる…」
氷室は泣きながらブタオに悪態つきながら森の中を走っていた。彼は突然我が身に降りかかったこの理解不能な状況に頭の中が混乱していた。いや、皆そうだった。そして訳も解らない内に次々と殺されてしまった。
ふと氷室は木々の茂みの向こうに4〜5人の人影を見つけた。
「あぁ!誰かいる…おぉ〜い!!」
彼は心の底から安堵しながら人影に向かって両手を振って走り寄って行った。
「グルルルル…」
「グオォォ…」
「う…嘘だろ…おい…」
だが、その安心は直後に絶望へと転じた。そこにいたのは全てオークだった。
「グルルルル…」
一匹が低い唸り声を上げながらドスンッ…ドスンッ…と氷室に近付いて来る。
右手には錆び付いてボロボロに刃こぼれした大きな斧を手にしている。
「あ…あぁ…あへえぇ…」
氷室は足がすくんで逃げられなかった。
「ウグオオォォォ!!」
オークは雄叫びをあげて斧を振り上げ、氷室に向かって思いっきり振り下ろした。
「ひいぃ!!?」
我に返った氷室はとっさに身を避けて斧を交わした。
いや、かわせたかと思いきや、刃先が身体をかすめた。彼は一瞬それが解らなかった。腹にズキッ…と激痛が走る。彼は恐る恐る視線を下ろしていく…。
…彼の腹はぱっくりと裂けていた。大腸やら小腸やら、あと何だか良く判らない内蔵類がダラダラと流れ出して来た。
「うああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?」
氷室は大慌てで内蔵を受け止めながら絶叫した。

一方、ブタオは…
「ぶふうぅぅ!!!こ…腰が抜けて立ち上がれないよおぉぉ〜!!!」
ブタオは四つん這いになり、地べたを這ってオークから少しでも離れようとした。
「グオォォ…」
だがオークはそんなブタオを少しの間黙って見下ろしていたが、すぐに飽きたらしく、棍棒をゆっくりと振りかぶった。
「ぶひいぃ〜〜!!!?お…おお…お助けえぇ〜!!!」
ブタオは恐怖で小便を漏らしながらオークに助けを求めた。だがオークの瞳には一片の慈悲も無い。ブタオは死を覚悟してギュッと目を閉じた。

…だが、いつまで経っても棍棒が振り下ろされる気配は無かった。
(も…もしかして俺もう死んだ…?)
ブタオは恐る恐る目を開けてみた。
「あ…!」
「危い所だったな、少年…ケガは無いか?」
ブタオの目の前には一人の美しい女性がいた。オークは彼女の後ろで血を流して倒れている。彼女の手には血塗れの剣が握られていた。
「あ…あ…あの…あなたが…その…助けてくれたんですか…?」
「うむ、助けられたのは君だけだ。君の仲間は残念だった…」
「そ…そうでしたか…」
厳密には仲間ではないのだが…。ブタオは改めて女性を見る。歳は20代の半ばくらい。赤に近い茶髪のショートヘアにエメラルドのような緑色の瞳を持った美女だった。肩や胸など部分的に強化した軽装の甲冑に身を包み、腰には革ベルトを巻いて剣の鞘を下げている。ファンタジーなどで見られる典型的な騎士のスタイルだった。その上に鮮やかな蒼いマントを羽織っている。そして胸甲には紋章らしき物と思われるX型に交差した剣の意匠があしらわれていた。
ブタオは女騎士を見て思う。
(…このお姉さん何なんだろう?コスプレ…には見えないよなぁ…リアリティありすぎだし…何より目付きが本職の人というか…)
「隊長!」
そこへ、彼女と同じような格好をした2〜3人の女騎士達が姿を現した。マントを羽織っていないのでブタオを助けた赤髪の女騎士よりも格下と思われる。彼女達の胸甲にも同じ紋章が付いていた。
(隊長さんだったのかぁ…)
ブタオは改めて赤髪の女騎士を見る。彼女は部下達に尋ねた。
「この近辺にいたオークは全て始末したのか?」
「は!それと、もう一人、少年を救出いたしました!」
「ほ…本当ですか!?案内してください!」
それに対して応えたのはブタオだった。
「うむ…立てるか?」
赤髪の女騎士がブタオに手を差し伸べる。
(ブフゥーッ♪女の人の手を握るなんて文化祭のフォークダンス以外では初めてだぁ〜)
ブタオは興奮しながら彼女の手を握った。
ところが、ブタオの体重が思いのほか重すぎたため、女騎士の方が逆に引っ張られてブタオの上に倒れ込んでしまった。
「うわっ!?」
「ぶべえぇっ!?」
ちょうどブタオの顔面に女騎士の胸が当たった。…本来なら嬉しいハプニングだ…彼女が鋼鉄製の胸甲を付けてさえいなければ…。

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