PiPi's World 投稿小説

勇者君とお姉様たち
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 31
 33
の最後へ

勇者君とお姉様たち 33

「魔王?なんのことだい坊や…うちは魔王なんかとはかなり昔に手は切ったよ…今はね…例えばベイカー、あの子は孤児でね、頭もよくないのは解るだろう?ああ見えて盗賊団を変えて生きてきた可哀相な子でね…他の皆もそうさ、金持ちに奴隷として買われたのはいいけど飽きて捨てられたり、病気で死にかけて置き去りにされたり…そんな子供たちばかりだったんだ…ま、うちは給料はきちんと出すし休みも取らせる、そりゃあ完璧な善人なんかじゃないけどね、私もあの子達は嫌いじゃないんだよ?」

「へ…じ、じゃあ…別にそういう訳じゃなかった…んですか?」

「ああそうさね、うちは評判の優良店だよ?許可もきちんと取ってるはずだけど…どうなってるんだい?」

二人はきょとんとしながら顔を見合わせていた。

完全な勇み足だった…しかも相手はきちんと優良店だったのを疑いをかけてしまい、あまつさえ必要があるなら討とうと考えていたのだから…このまま何があっても、何をされても文句は言えないだろう。 

「す、すみませんっ!とんだ勘違いでしたぁっ!!」

そのまま真っ先に謝罪の声をあげたのはアリューの方だったのは言うまでもないだろう。


ーーーーーーーーーーー 

「あっはっはっはっはっ!それで天下の勇者様が私のところに乗り込んできたって訳かい?男娼のコスプレなんかして、あー、こんなに笑ったのは久々だわ」

その後に、きちんと事情を説明したアリューに対してギルドからの許可書を見せながらもメッツァは大笑いし、目には涙を浮かべていた。 

「しかし…本当によく似合うねぇ?アリュー…案外そういう趣味があるのかい?その格好は…アンタならこのまま勤めてもなかなか稼げそうではあるけどさ」



「そ、そんなことありませんっ!この格好だってそもそも半ば無理矢理させられたんですからっ!嫌に決まってますよう!」

身体をくねらせ女装姿を隠すようにしながらも、どこか怒ったようにアリューは言葉を返した…本来ならば自分が客として乗り込んでまず確かめるという手もあったのだろうが、まず今のメンバー達による手前、そんなことはそうそう出来なかったのも事実だ。 
ーー恨めしいな…というかきちんとギルドに確認とれば良かったな…ーー

「まあ誤解が晴れたなら構わないし…ベイカーも別に気持ちよくしてくれたなら構わないさ、ふふ…ただし、お仲間にはきちんとアンタを購入したお金は返してもらうよ?ああ、もし戦いに疲れたなら雇ってあげるから安心しな?勇者のデカチンショタなんて物珍しすぎていい値段になりそうだからね?」

「も、もうっ!からかうのはやめてくださいよっ!」


「あはは、ごめんよ坊や、でも…私もプロだ、アンタがただ者じゃないテクニックを持ってる…っていうのは折り紙つきで保証するよ」 

楽しげに語らい狐耳をぴくぴくと動かし尻尾を揺らすメッツァは、しかし一度タバコを吸うと顔を変えて、難しそうな表情を浮かべた…まるで今までのお茶らけた態度が嘘のようだ…と、アリューが感じるくらいに。 

「それで…伝説の武具をすべて集めたら…倒しにいくのかい?魔王をさ」

「は…はい、そうです…あの…やっぱり、メッツァさんは気分…悪いですよね?」



「まぁ、ね…魔王とは昔からの知り合いだったからねぇ…そりゃあ昔は…それこそベイカーみたいに慕ってたもんさ、リリス姉さんって具合にね…魔王は複雑な家庭に生まれ育った身でね、私みたいなゴロツキくらいしか友人はいなかった…初めは小さなもんだったよ、内乱の続く国をお飾り君主状態だったあいつが建て直したいってさ…それが気がつけば魔界…あんたら人間の言う南の大陸を支配して、いつの間にか人間を倒せ!魔王は世界を統べるもの!…なあんて、周りが盛り上がっちまったんだ…私は今でも信じたいよ、魔王をね…人間は悪いやつらばかりじゃないし、信頼だって出来ないわけはない…あいつも同じ考えなはずだって、さ」

「な…何だか信じられないですね…僕の場合は生まれてこの方魔王もその仲間の魔物も倒すべき存在だとばかり教えられてきたから…」


SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す