勇者君とお姉様たち 2
そんな様子をアリューは頼もしく見つめた。
城下の門を出て、街道を歩きながら話をする。
「へえ〜!アリュー、勇者の末裔なのか!」
風に靡く金髪のアリューに驚きの表情を浮かべるレイナ。
「ええ。なんか伝説の勇者が残した剣という物も貰いましたし」
得意げに鞘から勇者の剣を抜いて見せた。これにはレイナも驚いてしまった。
(ただかわいいからついてきたけど…コイツは凄いやつになるかもしれないな…)
好奇心と美少年と二人旅をする高揚感からかレイナはウキウキする気分になった。
途中、凶暴化した野生生物に何度か襲われた。レイナはかばうようにして倒していく。しかしアリューも普段の童顔な顔をキリッと引き締め、敵を倒していった。
(アリュー、やるじゃん。しかもちょっとかっこよくなるし)
垣間見せるアリューの真剣な表情に溜まらなくなってきた。
何度か戦闘をこなすうちに、不意に後ろから抱き着きたくなる衝動を必死に抑えるレイナ。
ここのところ彼氏もなく、男性経験が豊富ではないにしろ、しばらくご無沙汰なこともあり、アリューに静かに欲情し始めてきている。
北国街道は一本道だ。迷うこともない。ただ森林を抜ける場所が点在し、そこには当然魔物も多い。
幾度と戦闘を繰り返し、日没が近付いてきた。
森林への入り口前に小屋がある。旅人の休憩小屋らしい。
「今日はここで寝るか。夜に森に入るのは危険過ぎるからな」
小屋は無人で無料で宿泊できるらしい。しかし「募金箱」のような物が厳重に施錠され置いてあり、振ってみるとじゃらじゃら音がする。
「良心で払え…ってことか」
レイナはつぶやき、とりあえずタダというのも気が引けるためいくばくかの小銭を入れておいた。
さて困ったことが起きた。
部屋が一つしかないのである。
粗末な小屋なため、簡易なトイレ以外は施設もない。
「だから内側から小屋の入り口をカンヌキで施錠すんだな」
一組パーティーが泊まると定員になるようだ。
ベッドは二つ粗末な物がある。
「さて…今日は疲れたね、ほれ、ご飯」
街で買っておいた食料をアリューに渡した。アリューはマントを外し、胸当ても外しリラックスした姿になった。
「ありがとうございます」
その笑顔にまたレイナはドキッとしてしまう。
思えば一つ屋根の下、年下男の子と二人っきりなのだ。
「明日はあの森を越えるんですねえ」
窓の外を見ながらアリューはつぶやきカーテンを閉めた。
「そ…そうだな。北の国までもうしばらくあるからへこたれるなよ」
動揺を隠すよう強がりながら白いマントを外し、鎧を外した。下に着ていた服はタイツのようにピチッとしていてボディラインが強調される。アリューがレイナの方に向き、しばしぼうっと見つめてるのがわかった。
マントや鎧で見えなかった豊かな胸やくびれ、健康的なふとももを分かる。
普段はさっと上から布や寝巻のような服を着て隠すのだがあえてアリューに見せつけるように、そのままにした。
(ふふふ…見てる見てる。やっぱりかわいくても男の子ね〜♪)
その姿のままわざとアリューの横に立ち
「明日晴れるといいね〜」
当たり障りのないことを言ってアリューに視線をこっそり送ってみた。
胸元をチラチラと見ては赤くなってるのが分かる。
(うんうん。脈はありそうね)
いきなりガッツいたら引かれるかもしれない。レイナは慎重にゆっくり誘惑するよう事を進めた。
「アリュー君は女の子と二人っきりは初めて?」
さりげなく聞いてみた。
「は…はい、僕の村にはレイナさんみたいなお姉さんがいなかったんで…」
(…てことは童貞ね…慎重に慎重に…。そして必ずこの子の童貞を…)
レイナは視線をアリューの下半身に移してみた。
やや膨らんだまま少し腰を引いている。
「そっか。緊張しないでいいよ。これからもこういうことあるかもしれないからね。そうそう剣の振り方で気になることがあったんだけど」
後ろからアリューの身体を抱きしめてみた。華奢に見えるが筋肉はガッチリしてそうだ。そのまま両手を握り
「こう斬るんじゃなく、こうした方が次の行動に移しやすいよ」
わざとどうでもいいアドバイスをしながら胸を押し付ける。
ビクンッとアリューが驚くように動いた。背中に柔らかな二つの丘が当たる。
「あ…は…はい…わかりました…」
腰が引けないぶん股間の膨らみが後ろから見える。
ズボンの中で苦しそうに突っ張っていた。
それには気付かぬふりをし、身を離すと。
「明日は朝早くから出発するからね」
ウインクしながらレイナはベッドに潜り込んだ。
アリューはしばし呆然としていたが、ゆっくりともうひとつのベッドに潜り込んだ。
その様子をコソッとレイナは布団の中から覗いた。
果たしてアリューがどんな行動をとるのか?
こちらのベッドに来て襲い掛かるのか?寝ている(寝たふりしている)自分に何かしてくるのか?何もせず寝ちゃうのか?
その行動によってアリューの「男」としての本性が見えてくるはず。そう思った。
しばらくアリューは布団に潜ったまま出てこない。
(まさか寝ちゃったかな?)
もしそうならかなり奥手か、自分で処理することも知らないウブだということになるが……
しばらくするとアリューの息使いが聞こえてきた。
(あらら…一人で…始めちゃった…かな?)