トレジャーハンター 6
まぁ、確かに子供の世話なんてやった事ないし、どう接するかわかんないしな。
ミナちゃんもザビーナに慣れているみたいだし大丈夫だろう。
でも、やっぱり・・・
「ザビーナ、本当に雅さんの手足は元に戻らないのか?」
「ん〜、別の方法ならあるよ〜。」
「本当か!頼むっ、雅さんを治してくれ。」
雅さん手足が治せると聞いて安心したが・・・
「大体、手足一本治すのに三千万かかるけど・・・。四本同時なら一億でいいよ。」
「いっ、一億!?」
確かに、無くなった手足を治すのは並大抵の事ではないだろうけど・・・
「そんな大金出せない・・・」
やはり雅さんの手足は治らないのだろうか・・・
「ん〜、そうだね〜、そうだあんた『トレジャーハンター』やったら?」
「『とれじゃーはんたー』?なんだそれ?」
「このトウキョウには、『ダンジョン』って所が沢山あるの、そこには沢山のお宝が眠ってるんだ。もっとも、ダンジョンには『モンスター』がいて危険だけど・・・。今は女になってるから死ぬ心配はないでしょ。」
『ダンジョン』やら、『モンスター』とかまるでゲームで出てくる言葉がでてきた。
まさか本当にゲームみたいな事があるのか?
「遊馬、バカな事は考えるな。これは私が未熟だからこんなことになったんだ。キミが気に病む必要はないんだ。」
雅さんはそう言って俺を止めようとした。けれど・・・
「いや、やっぱり俺が何とかしますよ。俺のせいで雅さんが酷い目にあったんですから。」
今雅さんを助けられるのは、多分俺だけだろうし、それにあの時雅さんは手足を斬られても俺を助けようとしたんだし。
「話はまとまった?あっ、お金は別に一括じゃなくてもいいわよ。」
「そういえば、トレジャーハンターってどれくらい儲かるんだ?」
「さ〜?人によって違うからね〜。でもこの前雑誌で『ダンジョンで一日一億稼ぐ男』って特集やってたよ。」
一日で一億って一体どんな奴だよ、それ?
「それはそうとアンタいい加減着替えたら?・・・デカい胸が見えて少しキレそうなんだけど。」
少し殺気のこもった目でそう言われた、確かにさっきので服がボロボロだ。
とりあえず俺は着替えることにした。
最初はザビーナの服をいくつか来てみたがどれも小さく、最後に来た服の胸のボタンが弾けてザビーナの額に当たり
「アンタに服なんて貸すかーーーー!!」っと、キレられてしまった。
その後、雅さんが着ていた黒いスーツとコートが見つかり、それを着ることにした。
手足の部分は一緒に切られて少し短くなっていたが、着る分には問題はなかった。(後で聞いたら戦闘用に作っていて結構丈夫らしい)
それと住む場所はレオニオルが居城としていたこの建物にする事にした。
ザビーナも雅さんの治療の為にしばらくここにいることになった。
俺はここで住めるように準備したり、雅さんが生活しやすいようにして、眠りについた。
次の日・・・
「それじゃあまず、トレジャーハンターになるには『トレジャーハンター管理局』ってとこに行けばいいんだな?」
「うん、そこで説明受けて、ハンターになるらしいよ。詳しい話はそこで聞いて。」
「わかった、ありがとな。」
「別にいいよ。ただ、あんたで金もうけ出来そうなだけだから。」
こいつ本当に守銭奴だな。一体何に使うつもりだ?
「遊馬っ!」
声の方を向くと車いすに乗った雅さんがこっちに来た。
ちなみに、この車椅子は念じればその通りに動くもので、なんでも魔法と科学の二つの技術でできているらしい。
「遊馬、こいつを使ってくれ。」
車いすのには刀が乗っていた。雅さんが持っていたものだ。
「いっ、いいんですか?」
「キミを丸腰にする訳にいかないからな。それにどっちにしろ今の状態じゃ無用の長物だしな。」
「・・・ありがとうございます!それじゃ行ってきます。」
俺は管理局のあるトウキョウの中心部に向かった。
今のトウキョウにもライフラインは整っていて、バスや電車も通っている。
俺はそれに乗って、途中で買ったガイドブックを読みながら移動した。
ここに住む訳だから、ある程度は知っておいた方がいいしな。
ガイドによると、今から15年前の2059年に突然『ゲート』と呼ばれるものが現れ、そこが異界との出入り口になった。
原因はいまだ不明で現在も調査中らしく、異界を『ファニアル』こっちを『リアルム』と便宜上名づけた。
ファニアルはいわゆる剣と魔法の世界でこちらでは空想の存在が実在するらしい。
また、トウキョウにも一応警察はいるのだが、場所が場所だけにあまり機能しておらず、よほどの事でもないと動けないらしい。
まあ、ここでは自分の身は自分で守らなければならない。
改めてヤバイとこだな・・・
「次は〜管理局前。管理局前です。」
どうやら着いたみたいだ。
バスから降りるとデカい建物立っていた。
『トレジャーハンター管理局』ここか。
俺は一息ついて中に入って行った。