トレジャーハンター 4
「さてっ、まずは動けんようにその四肢を落とそうか。」
そう言うとレオニオルの爪が伸びた。
俺は反射的に目を瞑った。
やばい、終わった・・・
ガンッ!
体に衝撃が走る。
あっ、死んだな俺。
・・・の割にあんまり痛くない。
目を開けて確認すると服が手足のとこだけ切れて、その下の肌が少し痣になっている位だ。
「あっ、あれっ?生きてる?」
「オンナッ、貴様何者だっ!」
レオニオルを見ると息を荒げてこちらを睨んでる。
「どうやら只者では無さそうだな、この俺の爪を受けて無事とわな。どうやら本気でやらんとな。」
レオニオルはそう言って構えた。
いやいや、今の多分偶然?だし、本気で来られてもマジで困るし。
「いくぞっ?!」
「ちょ、まっ、」
俺の静止を聞かずにレオニオルが跳ねた。
だけど跳ねた瞬間、奴がゆっくりとこっちに飛んできた。
・・・いや違う、よく漫画で見るような、『極限状態の戦いで全てがスローモーションになって見える』っといった感じだ。
その証拠に俺の動きも遅くなっていた。
だけど、その状態でも俺の方が何倍も速かった。
俺は思いっきりレオニオルを突き飛ばした。
そしたら・・・
ドッゴーーーーン
奴が思いっきりふっ飛ばされて壁に衝突した。
えっ、うそっ、俺強くなってる?
自分がとんでもない事になっていることに気付いていると。
ドーーーーン
「ぐおおおおおおおおおおおぉーーーーーーー」
瓦礫からレオニオルが飛び出してきた。
なんかさっきより体がでかくなってるし、目もなんか理性を失ってる感じだし。
完全に暴走してる感じだし。
しかも、こっちに向かってるし。
これ完全にヤバイし。
「だぁーー、もうやけだ、コンチクショー、俺の通信空手なめんなーーーー!!」
俺はやけくそになって奴に対峙する。
奴が振るう死神の鎌ような爪をよけ殴る。
今度は少しだけ下がっただけで吹っ飛ばされなかった。
頭上から振り落とされた爪をよけ殴る殴る。
俺はもうがむしゃらに殴った。
「うおおおおおぉ、おりゃーーーーー」
ドゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッ、ドーーーン
俺は何十回と殴って奴を壁際まで押して行った。
「おりゃーー」
ドスッ
「グフッ」
最後に思いっきり殴るとレオニオルは元の大きさに戻った。
「う〜〜ん、こりゃ、思った以上の成果ね。」
横を向くとザビーナがこちらを興味深く観察していた。
「うっ、ザビーナ、俺を助けろ。」
レオニオルは助けを求めるが、
「無理無理、私そんなに戦えないし。それにこのままアンタが死んでくれたら、アンタから金目の物奪えるし。あと、アンタ私の事いやらしい目で見てたでしょ、いつ襲われるか心配だったのよね〜。」
「誰が貴様のような貧相な体に欲情するか。」
ピクッ!
「ねぇ、きみ〜」
ザビーナはこちらを向いてとびっきりの笑顔で・・・
「さっさとそいつに止めさせ。(ハート)」
あっ、結構気にしてるんだ。
まあ確かに、ほとんど壁だしなあれ。
「こんな所で・・・」
レオニオルの呟きに振り向くと。
「死んでたまるかーーー!」
カッ
「うあああぁーーー!」
レオニオルの口から光の塊のようなものが出てきて吹っ飛ばされた。
今度のは流石に効いた、全身打撲になった感じだ。
「ぐおおおおぉーーー」
レオニオルの口に光が収縮されている。
まさか第二波!?
また食らうのは御免だ。
俺は奴に向かって飛んで・・・
「てりゃーーーー!!」
直感的に光の塊をぶん殴った。
ドーーーーーーン
「ふぎゃ!」
光の塊は爆発して俺はまた吹っ飛ばされる。
よく考えたら逃げた方が良かったかも・・・
今の衝撃で痺れる腕を庇いながら立ち上がると、そこには上半身が吹っ飛んだレオニオルがいた。
「も〜、止めさせって言ったけど、もうちょっとスマートにやってよね〜。」