淫靡な世界に生きる者達 1
そこでは、見渡す限りの地平線から、薄暗い雲より雨が降り続く。緩やかな風は生暖かい空気を生産している。
平地に見えるのは、少女達の群れ。暑さを軽減するためか、皆肌を露出しているさまが見受けられた。
「ねぇ、村長。まだ森に着かないの?レティ、早くキノコが欲しいよぉ…。」
顔は童顔。金髪のロングで、幼さの残る顔立ちだ。
…おかしな事にレティの顔は紅く染まり、少々辛そうに呼吸をしながら手を下半身へと伸ばす。
「駄目よ、頑張って。私たちは一刻も早く摂らなきゃいけないの。……ほら、レティ。」
村長と呼ばれた、レティと同年齢ほどの少女はレティの腕を掴み、自慰行為をやめさせた。
「……もう、やだ……。」
「………。」
重い足取りで前進する周りの少女達をよそに、レティは立ち止まってしまった。
「…レティ、もうやだ…。もうやだよ。我慢できないよ。…悪い怪物さん達から逃げるなんて、もう無理だよ。…」
パシン……。雨に乾いた音が響く。
「何弱音を吐いてるの!殺されちゃうのよ!みんな!…貴女、それでも良いの!?」
「………だって、レティは…レティはみんなみたいに強くない!いつ捕まるか分からなくて、レティのお友達、みんな悪い怪物さんに取られちゃったんだもん!……もう、もう……グズッ…ひっく……」
込み上げてきたものが爆発してしまった。
「レティは……今まで来た道を戻るね。…これ以上みんなに迷惑かけられないよ。」
「そんな…」「レティ…」「どうして…」
次々と辛そうに歎く言葉が出た。
「…そう、レティは辛くて堪らないのね。ごめんね、気づいてあげられなくて。……私は死んでしまった父様の為にも、皆を連れて行かなきゃならないの。……だから、貴女に何もできない私を一生恨みなさい。」
レティは涙を零しながら笑顔を作る。
「ううん、村長は何も悪くないよ。レティがおバカさんなだけなんだもん。……じゃあ、レティはもう行くね。今までありがとう。」