淫屍術師<投稿自由です> 7
深く深く沈み込む少年。彼の耳に入ってきたその声は、悪魔のようにささやく天使の声だった、と彼は後に語っている。
得意げに少年の周りを歩きまわりつつ、男はその言葉を口にした。
「くっくっくっ…食うか食われるかの潰しあいを、せずに済む手立てがあると言ったらどうする?」
「食わなくてもいいんですか?」
「教えてやっても良い。だが……、その為にはお前が俺の弟子になることだ」
「なります!教えてください!」
少年の表情が、まさしく照らされたように輝きだし、そして彼は救いの糸へと飛びついた。
男はそれを見ると、ニマニマと笑いながら問う。
「いい返事だ…チビ、名前は?」
「レオポルトです」
「珍しいが良い名前だ。300年前の王の名前だな。俺の名前はエーヴェルト。だがこれからは師匠と呼べ!いいな」
「はい!師匠!」
レオポルトが決意のみなぎる返事をし、満足そうなエーヴェルトだった。
エーヴェルトは立ち上がりながら、語り出す。
「まず、根本的に知っていないといけない基礎がある。それを教えるからついてこい」
「はい、師匠」
レオポルトが付いていくと、そこはさっきの建物。彼の姉がいる場所だった。
その後ろから呼び止める声があった。
さっきレオポルトが助けた女の子だ。
エーヴェルトともども振り返る。
「待って!わたしは、どうしたら……」
「リリアン?そうだよ。師匠、リリアンはどうしたら」
「ん?そういや嬢ちゃんの事を忘れてたな。村に帰っても、滅茶苦茶なことになってるからな…とりあえずこの家にいろ。
ただ……一つ確認しておく。今後もレオポルトに抱かれてもいいか?」
「う……」
リリアンは困惑したように黙り込んでしまう。
それはそうだろう。幼馴染とはいえ、また体を開かなくてはならないなんて、どうすれば良いと言うのか。
「そんな、師匠!どういう事ですか!」
流石に、レオポルトも見ていられず割り込む。
だが、エーヴェルトはへらりと笑うと、宣告するように言った。
「理由は、二つある…
まず、お前さんは理性は取り戻した…だが、人間に戻ったわけじゃねえ。
どうしても、時々発情するんだよ。
こいつぁ我慢してどうにかなるもんじゃねえし、下手すると無差別に人を襲っちまう。そんな事したくないだろう?」
エーヴェルトの言葉に、リリアンは何も言えず黙り込み、悩む。
そのまま視線をリリアンからレオポルトに向ける。
「もう一つはレオポルト、お前だ。要は練習相手だな。どうだ?幼馴染を助けたからには、面倒もみなくちゃいかんぞ」