淫屍術師<投稿自由です> 1
ある異世界に存在する魔法は、例外なく淫らな性質を持っていた。
火の玉を放てば、その炎は肉体ではなく理性を焼き払い性欲を燃え上がらせる官能の炎となり、
怪我の治療を行えば、治療が進行していくにつれて性欲が抑えられなくなる。
石像や土くれを魔力で動かそうと思えば、その姿は肉の身体を持つ女の物となり、性の快楽と注ぎ込まれる精液を燃料として動く魔生物と化す。
そして屍を動かす屍術もまた淫らな性質を持っており……
屍術師が連れ歩く生ける死者は、例外なく淫欲に狂った美女の姿をした獣達であった。
この世界の魔法が持つ淫らな性質によって、生前の性別が男であっても淫らな美獣に変えられてしまうのだ。
その屍術は戦争に用いられた。
いかに性欲のケダモノのような生ける屍しか作れないと言っても、淫らな本質を持つという基本ラインに反しなければ応用は効くのである。
屍達は愛液で土壌を汚し、その汚染によって土の中で安らかに眠る死者を仲間として蘇らせるようになった。
墓場から淫らな獣として次々と蘇る死者。
それらは強い再生能力を持っており、武器といえば精々投石器や剣、弓、槍といったこの世界の軍事能力では到底抑える事が出来ない相手であり……その事情は屍を戦場に投入した国にとっても同じであった。
戦場で無縁仏になった者達をも淫らな屍と化した時には、その屍を放った者達にも事態を収集させる事は出来なくなっていたのである。
そして世界のそこかしこで快楽を求める生ける死者が蠢くようになって数百年。
ある屍術師が屍術の奥義によって不老不死となり、世界中の屍で己のハーレムを作る事によって事態を収拾しようと考えた。
それが、この物語の主人公である。
※誰でもご自由に続きをお書き下さい。
―――
森の中の村は月に照らされていた。
道に人の姿はない。しかし足音が村に満ちている。
ユラユラとした足で道を行くのは生ける屍達。
息を呑むような美しい容姿、その中で蠢く無限の性欲
常に獲物を求めて徘徊を続ける彼女たちで小さな村はいっぱいだった。
「お姉ちゃん…」
壁の隙間からそんな村の様子を覗いた少年が傍らの姉に囁いた。
「助けは来るんだよね?」
「大丈夫よ。日が暮れる前に狼煙をあげる事ができたから
この村が襲われている事は伝わっているはずよ。」
村はずれの狼煙台
屍の襲撃時には近隣の村や町にそれを知らせ、助けが来るまで立てこもる事が出来るように作られている。
だが今ここにいるのは姉弟のみ。惨劇はそれほどまでに急だったのだ。
「あのさ…屍が一番に襲うのは男なんだよね?」
「それは大丈夫よ。たしかに男を襲うけれど、それは大人の男に人なの。
あなたみたいな子供は大丈夫よ。」
姉が安心させるように言うと少年は少年が言いにくそうに答えた。
「そうじゃなくって…あの…僕この間…」
「あら…」
そういえば弟が妙にもじもじとしていた朝があった。
まだ子供と考えた姉は気づかなかったが、弟は『大人』になっていたのだ。
「だからさ、僕がここにいたら屍が…」
その瞬間であった。狼煙台の扉が破られたのは。
髪を振り乱し乳房を揺らし屍が弟目指して飛びかかる。
姉が突き飛ばしていなければ、弟は襲われていただろう。
「お姉ちゃん!!」「逃げて!!」
男の香りで興奮していた屍は代わりとなった姉にも貪欲に襲いかかる。
たちまち衣服は引き裂かれ、全身に屍がむしゃぶりつく。