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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 26

セガルドは畏怖していた。武器はおろか、防具も付けていないリグールを相手に手足が震え、全身を冷や汗が襲い、息苦しさに呼吸もままならない。
「さっきまでの威勢はどうした?貴様が動かなければ女が死ぬぞ。取り巻きの魔族2体も道連れにな」
その言葉に反応したセガルドは、リグールに斬り掛かる。
右肩から左脇腹へ袈裟斬ろうと振り下ろした刄は、あっさりとかわされ、逆にリグールへ打ち込む隙を与えた。
「貴様は馬鹿か?」
鈍い音と共にセガルドの腹に拳がめり込む。
「がはっ!はぁっはぁっ」
セガルドは髪を掴まれ、顔を上げさせられた
「いいかセガルド。騎士にだけはなるな。」
「ぐ…あんたには関係ないじゃないか…」
「これは忠告だ。力が目覚めた刻、貴様が騎士だったならば貴様を必ず殺す。供に来る気がないなら静かな余生を過ごせ。」
「…」
「後ろの女…あれは貴様の女か?」
「…」         「あの女が愛しいのなら、あいつも諦めさせろ。そうすれば見逃してやってもいい。」
「何故…試験生を狙うんだ…」
「俺は『狂』の一員だ。」リグールは淡々と話し始めた。
「この国は腐っている。貴様は見た事があるか?奴隷として売られていく我が子を笑顔で見送る親を…。」「…」
「幼い少年、少女が慰み者として貴族に買われ、蹂躙される姿を…」
「…」         「平民以下の人間には安息に暮らす事は許されないんだ。死に物狂いで畑を耕しても端金にしかならない。」
「…」
「貴様はまだルクードに居るのか?」
「…はい…」
「首都は潤っているだろう。周辺から巻き上げた物が集うのだからな。」
「…」
「力なき虐げられし者の悲しみ、憤りを我ら『狂』が王に知らしめる」
「それが何故…試験生を狙うことに…?」
「出る芽は潰さなくてはならない。騎士、魔導士を増やさないためにな。」
「それが何に…」
「我らの最終目標は政権奪取…現王を殺し、新たな主導者を立て国を…」
「何か来る!」
イリスが大声を出すと、風のように巨大な白い虎が現われる。
その虎の背には、鮮やかな金色の髪、吸い込まれそうな漆黒の瞳、純白の衣に身を包んだ気品ある顔立ちの女性が座っていた。   「サーシャ様、何故このような所へ…」
リグールは今までとは違う優しい目で彼女を見た。
「リグール…」
サーシャと呼ばれた女性は悲しい目でリグールを見返す。
「セガルド、彼女が王族の血を継ぐ後継者、王の器だ。」
「…」
「まだ騎士になりたいか?」
「…」
「仕方あるまい。白虎王!」
「いかがいたしました?」白い虎が低い声でリグールの傍へ寄る。どうやら彼の式神のようだ。
「セガルド、騎士を諦めろ。そして俺と彼女の力になれ。断れば貴様の女を式神が喰い殺す。」
「なっ!」
「こいつは獣人族最高位。貴様等の式神では歯が立たないだろう。どうする?」「勝手な事ばかり言わないで!!」

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